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経営ブログ

手形の期間短縮(60日以内に)

令和6年4月30日、公正取引委員会は、業界の商慣行、近年の金融情勢等を総合的に勘案し、指導基準等を変更することとし、令和6年11月1日以降、親事業者が下請代金の支払手段として、サイト(手形期間又は決済期間をいいます。以下同じです。)が60日を超える長期の手形等を交付した場合、下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」といいます。)の割引困難な手形の交付等に該当するおそれがあるとして、その親事業者に対し、指導する方針を公表しました。

<公表の要旨>

これまで、手形の支払期間に関する指導基準は、業種によって異なり、繊維業では90日、それ以外の業種では120日とされてきました。しかし、今回の改定により、すべての業種において手形の支払期間は60日以内に統一されました。これは業界の商慣行や金融情勢を総合的に勘案した結果です。令和6111日から施行され、それ以降、親事業者が60日を超える手形を交付した場合には「割引困難な手形」と見なされ、指導対象となります。

また、経過措置として、施行日以前に交付された手形については、従来の基準(繊維業は90日、その他は120日)が適用されます。

さらに、今回の改定は一括決済方式電子記録債権が下請代金の支払手段として使用される場合にも影響を及ぼします。これらの支払手段についても同様に支払期間が60日以内に短縮されることが定められており、親事業者は下請事業者に対して不利益な変更を行わないように注意する必要があります。

この改定は、下請事業者の資金繰りを円滑にし、健全な取引関係を維持することを目的としています。

 

手形のメリット・デメリット

「手形」は、将来の一定期日にお金の支払いを約束する証券で、企業間の取引でよく利用されます。手形には「受取手形」と「支払手形」があります。以下、それぞれについて内容の説明とメリット、デメリットを整理します。

受取手形

内容

受取手形は、取引先(顧客)から受け取る手形です。将来の期日に顧客が支払うことを約束した金額を表しており、手形を受け取った企業は、期日が来るまでに手形を銀行で割引して現金化するか、期日まで保有して支払を受けることができます。

メリット

・信用補完機能:手形は支払の約束を保証する書面なので、取引先の信用を補完します。

・資金調達の柔軟性:手形を銀行に持ち込んで割引すれば、期日前に現金化できるため、資金繰りの柔軟性が増します。

・取引の信頼性:手形は法的拘束力があるため、取引先が期日に支払う確度が高いです。

デメリット(リスク)

・不渡りリスク:取引先が期日に手形の支払いができない場合、手形が「不渡り」となり、現金を受け取れないリスクがあります。特に、二度の不渡りで取引先は「倒産」とみなされる場合もあります。

・資金繰りの悪化リスク:期日まで手形を現金化できない場合、短期的な資金不足に陥る可能性があります。

・割引料の発生:手形を期日前に現金化するためには銀行に割引料を支払う必要があるため、資金コストがかかります。

支払手形

内容

支払手形は、企業が仕入先などに対して支払うことを約束する手形です。手形を発行することで、期日までの支払いを延期することができます。手形の期日が来ると、その額を銀行から引き落として支払いを行います。

メリット

・支払い延期効果:支払手形を使うことで、実際の支払いを期日まで延期できるため、一時的にキャッシュフローを改善できます。

・資金繰りの調整:将来の支払いを予定して資金計画を立てやすくなります。

・取引関係の維持:手形を使うことで信用取引ができ、取引先との関係を円滑に保つことができます。

デメリット(リスク)

・支払い不能リスク:期日までに資金を用意できないと「不渡り」になり、信用問題に発展する恐れがあります。特に二度の不渡りで倒産するリスクがあります。

・信用の低下:支払手形を多用すると、企業の信用力が低下する可能性があります。これは、手形を多く使うことで「資金繰りが厳しいのではないか」とみなされる場合があるからです。

・利息の発生:期日に支払いをする際には、取引先が割引を行っていた場合、その割引にかかる利息分を最終的に負担することがあるため、コストが増える可能性があります。


手形は資金繰りの調整手段として非常に有効ですが、不渡りなどのリスクもあるため、十分な計画と信用管理が必要です。

 

手形の期間短縮や手形自体の廃止

支払手形を発行している企業が、その手形の期間を短縮したり、手形自体を廃止する場合の理由や方法、メリットとデメリットを整理します。

1 手形期間の短縮

支払手形の期間を短縮するとは、手形の支払期日を早めることを指します。これは、取引先と合意の上で行われることが多く、企業が取引の信頼性向上や取引先の要求に応じて実施する場合があります。

理由

・取引先からの要請:取引先が早期の支払いを希望している場合、手形期間を短縮することで、取引先との信頼関係を維持できます。

・企業の信用向上:支払手形の期間を短縮することで、「早く支払う企業」として取引先や銀行からの信用が高まる可能性があります。

・手形取引の縮小準備:手形取引を廃止する準備段階として、徐々に期間を短くし、最終的に手形を廃止することを視野に入れている場合があります。

メリット

・信用向上:早期に支払いを行うことで取引先の信頼を得やすくなり、長期的なビジネス関係の強化につながる可能性があります。

・取引関係の円滑化:取引先が資金繰りを気にせず、スムーズな取引が継続できるため、相手企業との取引が安定化します。

デメリット

・資金繰りへの負担:期日を早めることで、自社の資金繰りが厳しくなる可能性があります。手元資金の確保が難しくなるリスクがあります。

・運転資金の圧迫:手形期間の短縮は、企業が即時に支払いを行うため、運転資金に余裕がなくなるリスクが伴います。

2 手形取引の廃止

支払手形そのものを廃止する企業も増えています。手形の代わりに、銀行振込電子決済などの即時決済手段を採用するケースが多いです。

理由

・手形の管理コスト削減:手形を発行するには、手形の印刷、管理、割引にかかるコストが発生します。これを廃止することで、事務的な負担が軽減されます。

・信用リスクの軽減:不渡りが発生した場合の信用リスクを回避できます。また、相手方の信用を確認する必要もなくなり、手続きがシンプルになります。

・資金決済の迅速化:銀行振込や電子決済などの即時決済手段に切り替えることで、資金の流れがスムーズになり、取引が迅速に進むようになります。

メリット

・管理コストの削減:手形を発行しないことで、印刷や管理、手数料などのコストを削減できます。

・不渡りリスクの回避:手形取引を廃止することで、不渡りリスクがなくなり、企業の信用リスクを軽減できます。

・キャッシュフローの改善:電子決済や振込を利用することで、資金の流動性が高まり、キャッシュフローの安定に寄与します。

デメリット

・即時支払いの資金負担:手形を廃止することで、すぐに現金を用意しなければならず、資金繰りが厳しくなる可能性があります。

・取引先との交渉が必要:手形取引を廃止する際、取引先に対して新しい決済方法を導入する必要があり、取引先との調整が必要です。特に手形文化に依存している企業の場合、抵抗があることも考えられます。

 

手形取引を続けるか、廃止するか、またその期間を調整するかは、それぞれの企業の資金状況や取引関係に依存します。資金繰りの見通しや取引先の期待に応じて、適切な判断が求められます。

廃業の仕方

相談者

A社 食品卸業及び小売業

相談内容

長年にわたって仕事をしてきたがコロナ禍の影響で事業の継続が難しく、家族と話し合って廃業することに決めた。

その対応として、銀行からと知人からの借入金の返済のために自宅を売却しようと考えている。

初めてのことなのでどのように進めたらよいのかを指導してもらいたい。

現在の状況

・創業:35 年 ・社長:61歳 ・社員:5名

・年商:1.5 億円 ・営業利益:△1,000 万円

・現預金残高:120 万円

・銀行借入残高:2,700 万円 ・リース会社:3社で 250 万円

・住宅ローン残高:1,800 万円 ・自宅時価:3,700 万円

・個人のカードローン:4 社 160 万円

対策

・自宅の時価は住宅ローン残高よりも高いので、廃業前に売却して、住宅ローンを支払った後の現金を確保する。これは銀行等からの仮差押、支払督促を避けるためもある。

・会社・個人の資産、負債の棚卸をして、一覧表を作成する。支払う負債と支払わない負債に分ける。支払うものについては優先順位を付ける。

・まずは自宅売却で残った資金で知人からの借入金を返済する。銀行は廃業後に長期の返済とする。

・自宅売却後の賃貸住宅の目処をつける。

・会社がある小売店舗の事業譲渡先を探す。

・在庫の棚卸をして廃業までに廉価販売計画を作る。

・社員の転職先を探す。

・リース会社に廃業の旨を伝えて、残金に対して和解交渉をする。

・個人のカードローン 4 社に廃業の旨を伝えて、残金に対して和解交渉をする。

留意点

・銀行の借入残金に対しては、全額が保証協会へ代位弁済となる。保証協会に対しては年齢が 61 歳ということ、資産が無いということ、当面は収入がないということを勘案すると毎月の返済は 1 万円程度となることが予想される。

・大切なことはすべての支払よりも、今後の生活費を確保することを優先しなければならないということ。

コロナ融資の返済状況

ここでは、コロナ融資の返済状況に関して紹介します。

融資の返済状況

調査報告書では、融資額の半分以上を返済した企業が「34.3%」で、半年前(2024年2月)の「29.5%」よりも増加しており、返済が進んでいることが示されています。

今後の返済見通し

調査では、融資条件通りに全額返済できるが「85.5%」で、返済に不安が「12.6%」になっています。

返済に不安の要因として挙がっている上位3項目を示します。

(1)人件費の高騰

(2)原材料価格の高騰

(3)人手不足

これらは、冒頭に示した倒産の要因と一致しています。

返済が不能になった場合の対応

コロナ融資の返済が不能になった場合、主に次の対応になります。

(1)リスケジュール(リスケ)の実施

金融機関と調整して、返済を一時的に止めたり、返済額を減額して、業績向上に努めます。

(2)代位弁済の実施

コロナ融資は保証協会の保証付きがほとんどで、リスケを行っても返済が不能と判断された場合、保証協会が融資を行った金融機関に借入金を支払います(代位弁済)。その後は、保証協会に返済する形になります。

次の図は、直近の代位弁済の推移を示したものです。コロナ融資の返済が本格化した令和4年(2022年)から増えだし、現時点でも更に増えている状況です。上記に示した要因により、力尽きた形になっています。

 

なお、「返済が不能になった対応」については、「株式会社 事業パートナー」の松本社長のコラムで紹介していますので、参考にして下さい。

今後はより不確実性が増す

先が読めない状況になっています。特に、冒頭に示した、物価・人件費の高騰、人手不足、後継者不足は、多くの中小企業が直面する課題です。

また、今後は、金利の上昇も予測されています。

この中で、中小企業は、現在の状況をよく分析して、事業ドメインの再設定を行い、業績を向上させる必要があります。

政府の支援は、「事業再生や経営改善」に政策を転換しています。

当社は、「事業再生・経営改善」の支援に取組んでいますので、経営状況に不安がありましたら、お問い合せ下さい。

事業再生に取り組んでいる場合、会社の借金(債務)を返せなくなって、連帯保証をしている社長さんに借金の返済を迫られる場合があります。

その際に、支払う財力がない場合、自己破産に追い込まれる可能性があります。

自己破産以外の方法として「個人再生」の方法があり、その概要とメリット・デメリットをChatGPTの協力を得てまとめてみましたので紹介します。

 

個人再生は、裁判所を通じて債務を圧縮し、無理のない返済計画を立てて再スタートを切るための法的手続きです。日本の「民事再生法」に基づく制度の一部であり、主に個人が対象となる再建手続きです。以下にその概要、メリット、デメリットを整理します。

個人再生の制度概要

個人再生は、借金の一部を減額し、残りを3年から5年の分割で返済する計画を立てる制度です。裁判所を通じて行われ、主に次の2つの手続きがあります。

(1)小規模個人再生:借金の総額が5,000万円以下の個人が対象。債権者の多数が同意すれば、債務の減額が認められます。

(2)給与所得者等再生:一定の給与収入がある個人向けの手続きで、債権者の同意が不要です。

どちらの手続きも、債務者が財産を守りながら、3年から5年で債務を分割返済する計画を作成します。

個人再生のメリット

(1)借金の大幅な減額

借金の大部分が減額され、残りの額を返済することで、無理のない返済計画を実行できます。例えば、借金の総額が100万円以下なら全額返済が必要ですが、100万円以上500万円以下なら最低100万円、500万円以上1500万円以下なら5分の1まで減額可能です。

(2)財産を失わずに済む

自己破産と異なり、家や車などの財産を処分する必要がない場合が多いです。特に、住宅ローン特則を利用することで自宅を守ることができ、住居を手放すことなく手続きを進められます。

(3)職業制限がない

自己破産と異なり、特定の職業や資格に制限がかからないため、仕事を続けながら再生手続きを行うことができます。これにより、生活の基盤を維持しながら再生が可能です。

(4)債権者の同意がなくても進められる場合がある

給与所得者等再生では、債権者の多数の同意がなくても手続きを進められるため、反対が多い場合でも再生手続きを利用できる可能性があります。

個人再生のデメリット

(1)手続きが煩雑で時間がかかる

個人再生は裁判所を通じて行われるため、手続きが煩雑で時間がかかります。債権者との交渉や裁判所の判断を待つ必要があるため、最短でも数ヶ月かかることが多いです。

(2)全ての借金が減額されるわけではない

住宅ローンなど一部の債務は減額の対象外となります。また、税金や罰金なども減額されません。そのため、全ての負債が軽減されるわけではない点に注意が必要です。

(3)返済が必要

自己破産と異なり、全ての借金が免除されるわけではなく、減額された後も残った借金を3年から5年の間に返済する義務があります。返済ができなかった場合、再生計画は失敗に終わり、債務は復活します。

(4)信用情報に影響が出る

個人再生を行うと、信用情報機関にその情報が記録されるため、いわゆる「ブラックリスト」に載ります。これにより、今後5年から10年の間、新たな借り入れやクレジットカードの利用が制限されることがあります。

まとめ

個人再生は、借金を大幅に減額しながらも財産を保持し、生活を再建できる強力な法的手段です。特に、住宅ローンを抱えている人にとっては有効な手続きです。しかし、手続きが煩雑であり、減額対象外の債務もあるため、事前に十分な準備と理解が必要です。また、返済計画を守らなければ、再生計画が失敗するリスクがある点もデメリットとなります。

 

企業経営に行き詰まり「借入金の返済」が重荷になった場合、状況に応じて様々な方策があります。

「自己破産」「個人再生」は最後の手段です。その前に打つ手は多くあります。

経営に困ったら、ご連絡下さい。

最近、インターネット、SNS等で「ファクタリング」の広告が目に付くようになっています。この広告の増加の背景には、業績不振で、金融機関からの追加融資を受ける事ができなくて、資金繰りが厳しいなった中小企業や個人事業主が増えたこともあります。

金融知識面で弱者の中小企業につけ込んだ悪質な「ファクタリング業者」が存在することも事実です。ここでは、問題があるファクタリングの事例と、利用者が注意すべきポイントを整理して紹介します。

問題があるファクタリングの事例

1 実質的に「貸金業」に該当する場合

【事例】
償還請求権(当面、売掛先が支払わなかった場合に利用者が責任を負う仕組み)がある取引は、法的には「貸金」とみなされる可能性があります。貸金業登録のない事業者が違法な取引を行っている場合があります。

【問題点】
法的トラブルに発展し、利用者がお金の返還を求められる場合があります。

2 給与ファクタリングの不正利用

【事例】
給与債権を譲渡する形で現金を調達する「給与ファクタリング」が問題化しています。

【問題点】
手数料が高額で、実質年率が100%を超える場合もあり、利用者が給与で返金できない場合があり、退職したり、自己破産に陥る場合もあります。

3 高額な手数料請求

【事例】
売掛金の金額に対して、20~30%以上の手数料を請求する業者が存在します。適正な手数料(5~10%程度)を超える取引は、利用者にとって負担が大きすぎます。

【問題点】
高額な手数料により、資金繰りの悪化、経営悪化につながるリスクがあります。

4 契約内容が分かりにくい

【事例】
利用者が契約内容を十分に検討しないまま契約を結び、追加の手数料やペナルティが発生するケースがあります。

【問題点】
突然の請求を受けることや、法的な対応を求められる場合があります。

5 非合法な債権譲渡契約

【事例】
売掛先が「譲渡禁止特約」をつけているにもかかわらず、これを無視してファクタリング契約を結び、後にトラブルとなるケースがあります。

【問題点】
売掛先との信用関係が破綻し、取引停止や法的紛争につながる恐れがあります。

 

利用者が注意すべきポイント

1 契約内容を詳細に確認

手数料、償還請求権の有無、売掛先への通知方法など、契約条件を細かく確認することが重要です。

不明な点があれば専門家(弁護士や行政書士など)に相談して下さい。

2 ファクタリング会社の信用をチェック

資本金、実績、口コミなどを確認し、信頼できる業者かどうかを見極める必要があります。

日本貸金業協会などの公共機関で登録業者であるかを確認することも必要です。

3 料金が適正かを検討

一般的なファクタリングの手数料は5~10%程度です。それ以上の手数料を提示された場合は、慎重に判断する必要があります。

4 売掛先との関係に注意

3者間ファクタリングの場合、売掛先にファクタリングを通知する必要があるため、信頼関係に影響しないかの確認が必要です。

5 法的な側面を理解する

償還請求権付きの契約は、貸金業法に触れる可能性があります。契約内容を法的に確認し、違法性がないかの確認が必要です。

6 過剰な広告に飛びつかない

「審査なし」「即日換金」などの過剰な広告には注意が必要です。これらはリスクの高い業者の可能性があります。

 

ファクタリングは適切に利用すれば有効な資金調達手段ですが、リスクの高い業者との取引は大きなトラブルを招きます。信頼できる業者を選び、契約内容を理解することで、リスクを減らす必要があります。

また、法律に違反しない取引であるかどうかを確認するために、専門家への相談もおすすめします。

ファクタリングをご検討される際は、当社にご連絡下さい。

ファクタリング以外の改善手段があるかもしれません。現状をよく調査・分析して、よりリスクが少ない改善方法を検討します。その結果、ファクタリングの活用が有効な場合は、信頼性が高い当社の連携先といっしょに検討します。

体力があるうちに廃業を考える

事業を継続するかの判断

事業を継続するかを検討する情報として次の4点があります。

(1)保有財産(借金を含めた)の状況

(2)利益(赤字を含めた)の状況

(3)社長の年齢・後継者の有無

(4)事業の将来性

 

保有財産と利益を考える

今回は(1)~(4)の中で、「(1)保有財産の状況」と「(2)利益の状況」を考えます。

【1】利益がでていて(黒字)、廃業したらお金が残る

現在利益が出ていて、会社をやめても借金ではなく、お金が残せるゾーンです。貸借対照表の純資産がプラス(資産超過)で、損益計算書の最終の当期利益が継続的に黒字の会社です。このゾーンに位置する中小企業は2割にも満たないと思います。

このゾーンで社長が高齢で後継者がいない場合、廃業だけでなく、後継者を探し出したり、会社の売却も行うことができます。

ここで重要なのは、社長の「方向性と方法」の決断です。

方向性は「どうしたいか?」です。

・親族(誰にを含む)に継がせたいのか?

・従業員に継いでもらいたいのか?

・M&Aで売却したいのか?

・自分の代で会社を閉じたいのか?

方法は「実施の支援先(相談先)をどうするか?」です。

この支援先の選定を誤ると、混乱に陥るばかりです。税理士、弁護士、中小企業診断士など「士業」は各専門分野の知識はありますが、事業承継やM&A、ましては廃業に関する知識、経験を持っている方は少ないのが現状です。

複数の候補者を選定して、その方に正当な対価を支払って計画とその実行を依頼することをお勧めします。役所や商工会議所が行っている「無料相談」では、有効な解は見つからないと思います。

早めに決定する

時間は思った以上に早く過ぎます。高齢になればなるほど死亡だけでなく認知症のリスクも高くなっていきます。

社長にもしもの時があったら、関係する多くの方が困ってしまいます。事業承継やM&Aには多くの時間がかかります。廃業にしても最短でも半年以上が必要になります。

 

【2】利益がでている(黒字)が、廃業したら借金が残る

この場合、次の2つの方向性があります。

利益がでているので、継続して事業を続け借金をなくす(減らす)

社長がまだ若くて時間がある場合は可能ですが、社長が高齢の場合はいつ何が起きるか分かりませんので時間的な余裕がありません。

利益がでている事業を他に売却(事業譲渡)を行い、残った借金の処理を行う

利益が出ている事業を、M&Aで事業譲渡の形で売却を行い、その対価を受け取る方法です。高い金額で売却できて借金をなくせる場合もありますが、ほとんどの場合、借金が残る形になります。

借金が残った場合は、様々な方法を用いて借金を減額する、なくす施策を行います。借金の返済先は命までは取らないので、しっかりと対応できれば道はあります。

 

【3】利益は出ていない(赤字)が、廃業しても財産が残る

このゾーンの場合、事業の将来性が見込めない場合、直ぐにでも廃業すべきです。

今回のコロナ禍の影響で、利益はでていないがまだ現預金が残っているケースも多いと思います。

コロナの感染拡大が減ったとしても消費者の行動が変わって、以前の売上が見込めないようであれば、体力(財産)があるうちに事業をやめることも選択肢としてあります。

売上の回復を期待して事業を継続して赤字が続き、気がついたら借金の方が増えてしまう可能性もあります。

 

【4】利益がでてなく(赤字)、廃業したら借金が残る

この場合が最も厳しい状況です。

事業をやめたら借金が払えない。事業を継続しても更に赤字が増え、場合によっては借金が更に増えてしまいます。

この状態では、通常の金融機関はお金を貸してくれなく、逆に、返済を求められます。

この時に、一発逆転を狙った無理な借金やギャンブル的な投機に走ると更に状況が悪くなり地獄に進みます。

この場合は、冷静になって、いかに損失を減らして終息させるかです。そのためには、社長が負けを認めることです。負けを認めたときから再生の道が開けていきます。

廃業を支援します

廃業は悪いことではありません。赤字なのにぐずぐずと継続して更に経営状況を悪化させることが悪いことです。

現状を見直して、先の見通しが立たない場合は、「倒産」に至らない前に、早めに廃業を決断して、実行した方が損失が少なく、再起できる可能性も高くなります。

「廃業」を前提に進めて、その一連の検討の中で、「M&A」による売却の可能性が見えてくる場合もあります。

ファクタリングの説明

ファクタリングは、売掛金を現金化する手段の一つで、資金繰り改善やリスク管理に役立つ金融サービスです。以下、ファクタリングの仕組み、活用方法、リスクについて整理します。

当社では、「事業再生・経営改善」の取組みの中で、資金繰りの短期対応としてファクタリングの活用も手法の一つとして検討します。

 1 ファクタリングの仕組み

ファクタリングとは、企業が保有する売掛金(取引先からの未回収の代金債権)をファクタリング会社に売却し、その対価として現金を受け取る仕組みです。

 <主な流れ>

売掛金の発生企業Aが取引先Bに商品やサービスを提供し、売掛金が発生。

ファクタリング会社への申請企業Aがファクタリング会社に売掛金の買取を依頼。

審査:ファクタリング会社が取引先Bの信用力を審査。

売掛金の譲渡と現金化審査が通れば、ファクタリング会社が手数料を差し出した現金を企業Aに支払う。

債権の回収:ファクタリング会社が取引先Bから企業Aに支払われた売掛金を回収します。

<ファクタリングの種類>

2者間ファクタリング:売掛金を販売主(企業A)とファクタリング会社間で契約。

3者間ファクタリング:売掛金を販売主(企業A)、ファクタリング会社、取引先(企業B)の3者間で契約。

2 活用方法

資金繰りの改善:売掛金の回収までの期間を待たずに現金を調達できるため、短期的な資金需要を満たすことができます。

信用リスクの回避売掛先の信用リスクをファクタリング会社に移転することで、貸し倒れリスクを軽減します。

事業成長の加速:売掛金回収に頼らず現金を活用できるため、設備投資や事業拡大がスムーズになります。

バランスシートの改善:売掛金を現金化することで、資産流動性が向上し、指標が改善します。

3 リスク

手数料:

ファクタリング会社に手数料が高額になる場合があり、特に中小企業にとっては負担が大きい。

手数料は一般的に売掛金の数%~十数%程度。

信用リスク: 

2者間ファクタリングの場合、売掛先が支払いを滞納すると、ファクタリング会社が売掛先に回収を行いますので、企業Aと取引先Bの間の信用関係が損なわれます。

契約リスク: 

不透明な契約条件や高額な違約金が設定されている場合もあるため、契約内容の精査が必要です。

取引先との関係悪化: 

3者間ファクタリングでは、取引先がファクタリングの利用を知ることで信用問題と捉えられ、取引関係に影響が出る可能性がある。

情報漏洩リスク: 

売掛金の情報を外部に提供するため、取引先情報が漏洩するリスクがあります。

4 まとめと注意点

ファクタリングは資金繰りの改善やリスク管理に有効ですが、以下の点に注意が必要です:

 ・信頼できるファクタリング会社を選びます。

・契約条件や手数料を十分確認する。

・自社の資金需要と目的を明確にする。

正しく活用すれば、事業成長や経営安定化の大きな助けになります。

 

日本でのファクタリングの状況

日本における売掛金ファクタリングの利用は、海外と比較して普及が遅れているのが現状です。その主な理由と今後の動向について以下に紹介します。

日本でファクタリングの利用が進まない理由

約束手形の広範な利用

日本では長年、約束手形が商取引の主流として用いられてきました。約束手形は支払いの確実性が高く、企業間での信用取引の基盤となっていました。そのため、ファクタリングの必要性が低く、活用が遅れたと考えられます。

法整備の遅れ

ファクタリングに関連する法制度の整備が遅れていたことも一因です。例えば、権利譲渡に関する法律の整備が進んできたのは1998年以降であり、それ以前は法的な不確実性が高かったため、企業はファクタリングの活用を積極的に行いませんでした。

電子債権の普及不足

約束手形の廃止に向けて、電子決済の利用が推進されていますが、2023年時点での電子決済の普及率は低く、企業間での利用が進んでいません。

約束手形の廃止によるファクタリングの必要性増加

日本政府は2026年末までに約束手形を廃止するため方針を示しています。これにより、売掛金の早期現金化手段としてファクタリングの需要が高まると予想されます。

法整備の進展

特に、2020年度の債権譲渡特例整備法改正により、譲渡禁止特約付きの譲渡でも譲渡が可能となり、ファクタリングの利用の範囲が拡大しました。

オンラインファクタリングの普及

非対面で手続きが進められるオンラインファクタリングサービスの増加により、企業が手軽にファクタリングを利用できる環境が整いつつあります。これにより、中小企業を中心にファクタリングの利用が拡大すると見られます。

 

約束手形の廃止や法の進展に伴い、今後日本におけるファクタリングの利用は増加し、市場規模の整備が期待されます。

中小M&Aにてトラブル発生

M&A支援機関事務局から、「中小M&Aのトラブル」に関するメールが届きました。

内容は、一つの買手の企業が、次の行為を複数の売手に行ったとのことです。

(1)売手に設定されている経営者保証を引き受けない

(2)売手側の現預金の資産を買手側に移し、これにより

 ・売手企業の支払に問題を生じさせる

 ・結果、倒産に至らせる

仲介業者にも処分が

上記の買手企業には、7社の支援機関が関与し、中小企業庁財務課の「M&A支援機関登録制度事務局」から登録の取消や「不適切な買手」を排除するための対策の検討・実施が指示されています。これらの支援機関の中には、「買手の資金力に疑いがある」ことを認識していてM&Aの仲介をしたところもあるとのことです。

現在、M&Aは、「後継者不在の解決策」だけでなく、「選択と集中による事業の再構築」「新規分野への進出」など様々な観点で、中小企業にも普及してきて、今後も大きな伸びが予測されています。

市場自体が大きくなるにつれて、多くの参入者が増えてきています。その中には、倫理は二の次で、自己の利益だけを追及するところもでてきます。

今回指摘されたことは、氷山の一角で、まだまだ多くのトラブルが発生している可能性があります。

事務局からの通達

事務局から各登録支援機関に、次の対応が示されています。

・買手が売手の事業等を引き継ぐ能力(意思・財力)があるかをきちんと確認すること

買手の状況を十分に調査を行い、調査の結果について、開示可能な範囲で売手側に報告し、取引実行の可否や最終契約に規定すべき条項の内容を協議することが示されています。

M&A仲介は利益相反になる可能性が高い

アドバイザーや仲介者がいない場合

M&A市場においては、買手は売手よりも強い場合がほとんどです。

買手の多くはM&Aを実行している経験が豊富で自者が有利になることを熟知しています。一方、売手の場合は、M&Aに取り組むのは初めての場合が多く、従ってM&Aに対する知識が不足しています。

そのため、アドバイザーや仲介者がいない場合は、買手が有利になり、売手が不利益を被る可能性が高くなります。

仲介業者が入る場合

仲介業者が交渉に関与せずに、仲介(紹介)業務に徹し、交渉は売手と買手のみで行うなら、利益相反は起こりません。

しかし、実際には仲介業者が両者の交渉に関与して、売却条件の調整や各種の契約締結を推進します。この際、仲介業者はどうしても買手有利になってしまいます。その理由は、M&Aが成立後も買手は存続し「買手はリピート顧客」になる可能性が高いからです。

そのため、M&Aの仲介は仕組み的に、売手(セルサイド)が不利になります。

当社が取り組む「M&Aセルサイドアドバイザー」

上記の問題点や次に示す「政府(経済産業省・中小企業庁)」や「M&A仲介協会」の動向を考慮して、当社のM&Aは、

セルサイド(売手)アドバイザー」業務を中心に取り組んで行きます。

 

M&Aセルサイドアドバイザーの3つのサービス

1 M&Aセルサイドアドバイザー業務

次に示す4つの約束に準じて、会社(事業)売却をお手伝いします

2 セカンドオピニオンサービス

*セルサイド、バイ(買手)サイド共に対応します

仲介業者と契約済みの社長様にも、アドバイザーとして寄り添います

特に価格に関する助言、売却・買収後の補償を防ぐための表面保証を含む最終契約書の内容に関する助言を行います。

※費用はお見積もりします。

3 会社・事業売却に向けた事前準備コンサル業務

数年後以降の会社(事業)売却を想定して、企業価値向上策などを助言します。

M&Aセルサイドアドバイザーの4つの約束

M&Aセルサイドアドバイザーは4つのお約束を遵守します。

1 売手企業のオーナーに寄り添います。

・M&A事業者大手は、ほとんど仲介の形態です。その機能は双方の仲介であり、売手側のアドバイザーではありません。

・仲介機能及び双方代理の仲介会社では、初めて会社を売却される売手のオーナー様にとっては機能不足です。

セルサイド(売手様)のアドバイザーに専任します。

2 適正価格での売却に最大限尽力します。

・安くするほど買手候補は増えます、逆に高くなると買手候補は減ります。

・案件成立が優先されるあまり、売手企業のオーナー様の知見不足と相まって、買手優先の取引が少なからず発生しています。

・適正価格を探して最大限尽力する。売手企業のオーナー様が損をしない売却を行います。

3 適正な報酬でセルサイドアドバイザー業務をお引き受けします。

・報酬の料金体系や課金方法は様々です。一部の業者では、レーマン料率に対して「純資産」や「譲渡価格+負債」を乗じたり、中間費用を徴収して、総額から減じない等フェアではない報酬が提示されています。

・当社では適切な報酬体系を提案させていただきます。

 

4 売手の秘密を守りながら業務を遂行

・希にオーナー自らが売り歩いている事象を見ますが、お勧めしません。売却の情報が広く漏れて、金額や保証の交渉での不利益が生じる可能性が高くなります。

・適切な方法で会社(事業)売却を進めます。安心して取り組めます。

 

会社や事業の売却をご検討の方はご連絡下さい。

また税理士事務所の顧問先の中で、売却を考えている方がいらっしゃいましたらご連絡下さい。

自己破産と個人再生は、債務者が借金を返済できない場合に利用できる日本の法律制度です。どちらも借金の負担を軽減する方法ですが、手続きの内容や結果が異なります。以下に、それぞれの概要と比較を示します。

自己破産の概要

自己破産は、債務者が債務を返済できない場合に、裁判所に申立てを行い、借金の全額を免除してもらう手続きです。自己破産の主な特徴は次の通りです。

・目的借金の全額免除(免責)

・申立要件借金が返済できない状態にあること(支払不能)

・手続きの流れ裁判所に申立て破産手続開始決定財産の清算免責許可決定

・結果免責が許可されれば、借金が全額免除されます。ただし、税金や養育費など一部の債務は免責されません。

・影響一定期間、信用情報に自己破産の記録が残るほか、一定の職業(弁護士、税理士など)に就けない期間があります。また、財産は基本的にすべて清算されます。

 

個人再生の概要

個人再生は、借金の一部を減額し、残額を分割して返済することを目的とした制度です。特に、住宅ローンなどを抱える場合でも、持ち家を維持できる点が特徴です。主な特徴は次の通りです。

・目的借金の減額と再生計画に基づく分割返済

・申立要件継続的に収入があり、借金を返済できる見込みがあること

・手続きの流れ裁判所に申立て再生計画案の提出再生計画の認可再生計画に基づき分割返済

・結果借金の総額が大幅に減額され、その減額後の金額を3年から5年で返済します。

・影響自己破産ほどの強い制約はなく、財産の処分も行われません。ただし、信用情報には個人再生の記録が残ります。

 

自己破産と個人再生の比較

項目

自己破産

個人再生

主な目的

借金の全額免除

借金の一部減額と分割返済

適用条件

支払不能状態

安定した収入があり、返済可能

財産への影響

原則、すべての財産を清算

持ち家など一定の財産を保護可

手続きの流れ

破産手続開始免責決定

再生計画の提出再生計画認可

信用情報への影響

長期間(約7年から10年)

短期間(約5年)

職業制限

一定期間制限あり

制限なし

税金・養育費

免責されない

免除対象外

どちらを選ぶべきか?

・自己破産は、返済の見込みが全く立たない場合に適しています。免責が認められれば借金がゼロになりますが、財産の清算や一定の職業に就けない制限が発生します。

・個人再生は、安定した収入があり、借金を減額すれば返済できる可能性がある場合に適しています。特に住宅ローンを抱えていて、持ち家を維持したい場合に有効です。

それぞれの選択は、債務者の経済状況や今後の生活計画に依存します。

 

企業経営に行き詰まり「借入金の返済」が重荷になった場合、状況に応じて様々な方策があります。

「自己破産」「個人再生」は最後の手段です。その前に打つ手は多くあります。

経営に困ったら、ご連絡下さい。

コロナ禍の影響、原材料費・人件費の高騰、人手不足、後継者不在など経営環境が悪化している中で、事業の継続が難しくなっている企業が増えてきています。

事業パートナーグループにも、事業再生や廃業の相談が増えています。

これらの相談の中の幾つかを紹介していきます。

経営課題をお持ちの企業の方々に「事業再生」や「先の姿が見える廃業」に向けた参考になれば幸いです。

企業の経営支援を行っている士業・コンサルタントで、解決が難しい案件がありましたらご相談を承ります。連携して対応することも可能です。

会社の現状

・社長の年齢:63 歳

・業種:自動車修理業 

売上:1 . 2 億円 ・ 債務超過:△5,000 万円

・現・預金残高:600 万円  ・借入残高:4,000 万円

・従業員:6 名

相談内容

国税及び社会保険料の滞納額が多額で、銀行口座の差押えを受けた。今後の経営をどのようにしたら良いか。

アドバイス

(1) まずは自社の事業の将来性があるかを判断する

つまり、今後の利益を出すことが可能かどうか。

(2) 国税と社会保険料の滞納に関する留意点

・新たに発生する納税分は必ず納税すること。
・既に延滞している分は少額納税で交渉する。
 *地域の所轄によっても異なるが、役所としては前向きに対応してくれると思われる。

(3) 廃業を決断した場合の留意点

・銀行借入残高に関しては社長が連帯保証人になっていることが多い。

そのために廃業時には保証協会や日本政策金融公庫と返済の交渉をする。

*現在は保証協会が大部分の銀行借入の債務保証をしているため

(4) 従業員への“解雇通知”は最低1ヶ月前にすること

 

(5)第二会社への移行に関しては専門的知識が必要なために弊社までご連絡を

経営上で何か問題が発生しても必ず解決の道はあります。
諦めずに考えてください。
それでも、適切な答えが出ない時は、私どもにご相談ください。

 

コロナ禍の影響、原材料費・人件費の高騰、人手不足、後継者不在など経営環境が悪化している中で、事業の継続が難しくなっている企業が増えてきています。

事業パートナーグループにも、事業再生や廃業の相談が増えています。

これらの相談の中の幾つかを紹介していきます。

経営課題をお持ちの企業の方々に「事業再生」や「先の姿が見える廃業」に向けた参考になれば幸いです。

企業の経営支援を行っている士業・コンサルタントで、解決が難しい案件がありましたらご相談を承ります。連携して対応することも可能です。

事業再生相談   居酒屋の事業再生

☆ 居酒屋2店舗を東京地区で経営している人からの相談

家族構成

・経営者年齢:66 歳  ・配偶者年齢:62 歳  ・後継者:無し

現在の状況

・店舗年商:A 店 6000 万円 / B 店 4000 万円

・2つの店は2駅離れているところに存在している。A 店は配偶者が責任者、B店は経営者が店で調理・接客をしている。

・従業員は各店に数名(パートを含む)。

相談内容

・夫婦で 30 年間居酒屋の経営をしてきたが、店舗も古くなり、売上も減少している。お店の経営を続けていく自信がない。毎日が心配である。どうしたら良いのか?

対応のポイント

(1)まずは店舗の収益分析をする。

(2)2店舗メニューの種類と価格が対象とする顧客に合っているかを確認する。

(3)上記2点を確認した後に売上げ減少の原因を特定して対応策を考える。

(4)お二人の年齢を考えて、2店舗の内の1店舗を廃業して、ご夫婦お二人で1店舗のみで経営を行うことを考える。そうすることによって従業員の給料を含めて従業員の経費の見直しをする。

(5)銀行からの借入金があれば、元本の返済原資が現状の利益から創出されるかを計算する。
 創出されないようであれば、返済可能な金額を銀行にお願いする。
 現状であれば銀行は了承するはずです。

まとめ

経営上で何か問題が発生しても必ず解決の道はあります。
諦めずに考えてください。
それでも、適切な答えが出ない時は、私どもにご相談ください。

 

政府は、労働者の時間当りの最低賃金を、現状の約1,000円を「1,500円」に上げようとしています。 従業員の給与を上げる施策として、中小企業が取組む内容を3回に分けて紹介しています。

第1回:経営効率の改善と業務の見直し

業務プロセスの無駄を削減し、生産性を高めることで、コストの削減を図り、その分を賃金引き上げに撤退する方法について解説します。

第2回:新たな収益源の発掘とクロスセル戦略(前回)

新しい商品やサービスの開発、顧客様への追加提案(クロスセル)売上を増やし、従業員の給与アップを目指す方法を紹介します。

第3回:従業員のスキル向上とキャリアアップの支援(今回)

中小企業が従業員のスキルを高め、生産性を向上させることで、賃金を実現する視点です。 特に人材育成プログラムや社内研修、キャリアアップ育成支援、会社全体の付加価値を高める方法について説明します。

従業員のスキル向上とキャリアアップの支援

従業員の給与を確保するためには、会社全体の生産性を高めることが重要です。 特に中小企業においては、少数精鋭の従業員が企業の成長に直結するため、従業員のスキルアップとキャリアアップが必須です。

ここでは、スキル向上やキャリア支援、従業員の成長を見据え、結果的に企業全体の収益性を高める方法についてご紹介します。

1 社内研修と外部セミナーの活用

従業員が業務に必要なスキルを高めるためには、社内研修や外部セミナーの活用が有効です。例えば、業界の最新トレンドや技術について学ぶセミナーに参加させることで、従業員はより専門性の高い知識を身につけられます。社内研修で社内業務の基礎知識やスキルを強化し、外部のセミナーやワークショップで高度な知識を補完することで、実践力の向上を図りましょう。

また、社内で「勉強会」や「情報共有会」を定期的に実施し、従業員が知識を共有する機会を最大限に活用することも効果的です。伝える場を作ると、自然とスキルの底上げができます。

外部セミナーの参加費用などの投資は必要ですが、知識や技術が向上することで、業務効率の向上やサービス品質の向上につながります。

2 資格取得支援とキャリアパスの明確化

従業員が自信を持って業務に取り組むためには、資格取得支援が効果的です。 特に、業務に関連する資格を取得することで、自分の成長を実感し、会社に貢献する意識が高まります。資格取得にかかる費用の一部を会社が負担する制度を導入すれば、従業員のモチベーションを高めることもできます。

さらに、従業員が自分のキャリアビジョンを描きやすくするために、キャリアパスを明確に提示することが重要です。昇進や昇給の基準を設定し、目標を達成することでキャリアが進む仕組みを作ると従業員の目標が明確になり、自分の成長が給与や昇進に結びつく実感が湧きます。

3 OJTとメンター制導入

日常業務の中で学びながら成長できるOJT(オン・ザ・ジョブ・トレー​​ニング)やメンター制度も効果的です。 特に新入社員や若手社員に対して、経験豊富な先輩社員が指導する「実務スキルメンター制度」では、定期的にメンターと面談することで、日々の業務の中で発生する悩みや課題を解決しやすくなり、業務の質が向上します。

メンターや指導役の社員に対しても、その役割に応じた評価や報酬を設定することで、全体の育成力が向上します。また、OJTやメンター制度を取り入れることで、チーム全体の結束力を高め、結果的に、職場全体の雰囲気が良くなり、従業員の定着率の向上にもつながります。

4 リーダーシップ研修や管理職育成

中小企業の成長には、従業員がリーダーシップを発揮し、主体的に業務を推進することが必要です。リーダーシップ研修管理職向けのトレーニングを導入し、将来的にチームを担う人材を育成しましょう。リーダーシップ研修では、コミュニケーションスキルや問題解決力の強化が図られるため、従業員が自信を持って業務に取り組めるようになります。

さらに、管理職の研修では、チーム全体をまとめるための戦略的思考マネジメントスキルを学ぶことができます。業務効率の向上と組織の安定が期待できるリーダーシップを持つ人材が増えることで、会社全体の生産性が向上し、給与アップの実現がより現実味を帯びるようになります。

5 インセンティブ制度の導入

スキルアップや成果に応じて報酬が得られるインセンティブ制度を導入することも、従業員のモチベーションを高めるために効果的です。個人の成果や目標達成に応じてインセンティブを支給することで、従業員がより積極的に仕事に取り組めるようになります。業績に基づいた評価制度を整えて、社員が会社の目標と自分の成長をリンクさせやすくなり、職場全体の生産性向上につながります。

インセンティブは、チーム単位での成果に対しても支給することで、協力体制を促進し、チームワークの向上も期待できます。例えば、期末ごとに成果を評価し、一定基準に達したチームに対して報酬を提供するなど、明確な基準と公平な評価でインセンティブを運用することが重要です。

まとめ

従業員のスキル向上とキャリアアップ支援は、企業全体の成長に直結します。 社内研修や資格取得支援、メンター制度の導入など、従業員の成長をサポートし、スキルアップの成果を給与に還元、またインセンティブ制度を取り入れることで、モチベーションを高め職場全体の成果を引き出す仕組みを整えることができます。

従業員が成長することで、企業も成長し、結果的に従業員の給与アップを実現できるようになります。 給与を引き上げるためには引上げ分の原資となる「利益」が増加することが必要です。利益を増加させるために、従業員のスキル向上とキャリア支援に積極的に取り組んでいきましょう。

政府は、労働者の時間当りの最低賃金を、現状の約1,000円を「1,500円」に上げようとしています。 従業員の給与を上げる施策として、中小企業が取組む内容を3回に分けて紹介します。

第1回:経営効率の改善と業務の見直し(前回)

業務プロセスの無駄を削減し、生産性を高めることで、コストの削減を図り、その分を賃金引き上げに撤退する方法について解説します。

第2回:新たな収益源の発掘とクロスセル戦略(今回)

新しい商品やサービスの開発、顧客様への追加提案(クロスセル)売上を増やし、従業員の給与アップを目指す方法を紹介します。

3回:従業員のスキル向上とキャリアアップの支援(次回)

中小企業が従業員のスキルを高め、生産性を向上させることで、賃金を実現する視点です。 特に人材育成プログラムや社内研修、キャリアアップ育成支援、会社全体の付加価値を高める方法について説明します。

 

新たな収益源の発掘とクロスセル戦略

従業員の給与を上げる方策として、中小企業が積極的に取り組む戦略の一つが収益源の拡大です。売上を増やし、利益を増やすことができれば、従業員の給与に還元されやすくなります。

これまでのビジネスの強化や新規顧客の開拓に加え、既存顧客へのクロスセル(関連商品・サービスの提案)を活用して収益を増やす方法について解説します。

 

1 既存顧客へのクロスセルで売上を拡大

クロスセルとは、お客様に対して関連商品サービスを提案することで、お客様の満足度を上げる方法です。例えば、製品Aを購入しているお客様に、互換の良い製品Bや、メンテナンスサービスを追加することです。すでに商品やサービスに対する信頼があるため、クロスセルは新規顧客開拓よりも効率的であり、比較的低コストで売上を伸ばすことができます。

クロスセルを行う際のポイントとして、顧客のニーズに合った提案をすることが重要です。顧客が興味を持たない提案をしてしまうと、逆に信頼を損なう可能性があるため、購入履歴や顧客情報を分析して、適切なタイミングで必要な商品やサービスを提供することが成功の鍵です。

 

2 既存商品の付加価値を高める

既存の商品やサービスに、競合先にはない付加価値を付けることも有効な戦略です。 同様に、通常の商品に限定特典やアフターサポートを付けることで、競争力を高め、顧客により高い価格で提供できるこれにより、自社の売上を伸ばすことができ、利益率を改善することが可能です。

具体的な施策として、パーソナライズされたサービスの提供や、定期的なメンテナンスサービスの追加が考えられます。また、商品を提供するやサービスに関する教育コンテンツ(例:使い方や活用法セミナーやウェブ講座)を提供することで、顧客満足度を向上させるとともに、リピーターや高額な商品の購入につながる可能性が期待できます。

 

3 新規市場の開拓と商品多様の選択肢  

収益源を増やすためには、新しい市場や顧客層への展開が重要です。例えば、これまで地域限定でサービスを提供していた場合、オンラインでの販売や、配達エリアを拡大することで、新たにな顧客層にリーチできるようになります。

また、これまで提供していた商品やサービスの対象層を拡大し、新たな層に向けて商品の改良やマーケティングを行うことも効果的です。特定の有望な業界に絞ったプロモーションなどを行い、対象を広げることで新たな顧客を獲得することが可能です。

 

4 サブスクリプションモデルの導入

安定した収益を上げるための方法として、サブスクリプションモデル(定期購読サービス)の導入も有効です。商品やサービスを一定期間ごとに提供することで、継続的な売上が期待でき、キャッシュフローの安定化が見込めます。サブスクリプションモデルの募集は、顧客の継続率が見込まれ、ライフタイムバリューが向上する点にあります。

定期的に消費する商品の場合、サブスクリプションモデルを導入することで顧客の利便性も向上し、継続的な利用が期待できます。また、毎月の会員限定の特典をつけることで、サブスクユーザーにとって魅力的なサービスを提供し、リピート率を高めることができます。

 

5 アライアンス(提携)による新たな収益源の確保

競合先を含めて関連企業との業務提携も、新たな収益を生み出すための有効な手段です。自社の強みと提携先の資源を組み合わせて、独自では困難だった新規事業やサービス展開が可能になります。提携先の企業と共同でプロモーションを行ったり、商品をセットで販売するなど、今後シナジーを生む形でのアライアンスが考えられます。

特に中小企業では、リソースの限界があるため、提携による新しい販売チャネルを構築することは効果的です。提携相手の顧客基盤を活用し、自社商品の販路を広げることができれば、効率的に収益を増加させることが期待できます。

 

まとめ

これらの顧客に対するクロスセルや、新たな市場やターゲット層の開拓、サブスクリプションモデルの導入など、多様性を取り入れることで、売上増加と安定的な収益を目指すことが可能です。中小企業が収益を増やし、従業員の給与アップにつなげるためには、柔軟な発想で新たな収益機会を見つけ出し、積極的に実行していくことが求められます。

 

次回の記事では、従業員のスキル向上とキャリアアップ支援により生産性を引き上げ、その結果、給与を多く支払う方法についてご紹介します。

 

政府は、労働者の時間当りの最低賃金を、現状の約1,000円を「1,500円」に上げようとしています。 従業員の給与を上げる施策として、中小企業が取組む内容を3回に分けて紹介します。

第1回:経営効率の改善と業務の見直し(今回)

業務プロセスの無駄を削減し、生産性を高めることで、コストの削減を図り、その分を賃金引き上げに撤退する方法について解説します。

2回:新たな収益源の発掘とクロスセル戦略(次回)

新しい商品やサービスの開発、顧客様への追加提案(クロスセル)売上を増やし、従業員の給与アップを目指す方法を紹介します。

3回:従業員のスキル向上とキャリアアップの支援

中小企業が従業員のスキルを高め、生産性を向上させることで、賃金を実現する視点です。 特に人材育成プログラムや社内研修、キャリアアップ育成支援、会社全体の付加価値を高める方法について説明します。

経営効率の改善と業務の見直し

従業員の給与を上げるためには経営効率を高めることが必要です。本記事では、経営効率を改善し、業務を見直すための具体的な考え方についてご紹介します。

1 業務プロセスの可視化と改善

まずは、現在の業務プロセスを可視化することが、効率改善の始まりです。日々の業務を図式にしてみると、意外にも無駄な工程や重複する作業が浮き上がることがあります。手作業で行っている事務作業を自動化することで、時間を大幅に節約できる可能性があります。

また、社内コミュニケーションの仕組みを見直すことも重要です。 社内の情報共有がスムーズにならないと、仕事が二度手間になり、時間も無駄になります。情報共有の仕組みの導入や、週に一度の定例会議をはじめ、情報が一元管理されるような環境づくりを進めましょう。

2 デジタルツールの活用

業務効率化に関しては、ITツールの導入が非常に効果的です。現在、会計や在庫管理、顧客管理など、多くの分野で手軽に利用できるクラウド型の業務支援ツールが登場しています。帳簿簿や経費精算を手作業で行っている場合には、クラウド会計ソフトを導入するだけで手間を大幅に削減できます。

さらに、タスク管理やプロジェクト管理を行うためのツールも多くあります。これらのツールを使うことで、業務進行状況が可視化され、作業の優先順位や効率が向上します。ツールの導入には一定のコストがかかることもありますが、長期的な生産性向上とコスト削減の効果を考えると投資する価値は十分あります。

3 外注と業務のアウトソーシング

日常的な業務の中には、外部に委託した方が効率的なものも少なくありません。例えば、経理や給与計算などの業務は、専門のサービスにアウトソーシングすることで、自社のリソースを収益が見込めるコアの業務に集中させることができます。また、ITサポートやウェブサイトの管理なども外部に依頼することで、従業員が専門分野以外の業務に時間を割かなくても済みます。

アウトソーシングの時間は、必要な時だけ依頼できるため、コストを抑えながら効率的に業務を進められる点にあります。 さらに、専門家によるサポートを受けることで、より高品質なサービスを提供できるため、顧客満足度の向上にもつながります。

4 無駄なコストの見直し

最後に、経費の見直しも重要な要素です。電気や通信費、備品の調達費用など、日常的な経費は意識して削減に取組まないと徐々に増えていきます。例えば、照明をLEDに変更する、電力プランを見直し、オフィスのスペースを効率的に活用するなど、小さな取り組みが積み重なり、結果的に大きなコスト削減につながります。

また、仕入れ先と商品(製品)仕様、梱包仕様、運送方等等の見直しを行い、コスト削減の交渉をすることも検討しましょう。無駄なコストを削減することで、その分を従業員の給与に充当することが可能になります。

 

まとめ

経営効率の改善と業務の見直しは、一朝一夕には完了しないかもしれませんが、日々の業務改善が少しずつ行われることで、確かな成果を生み出すことが期待できます。従業員の給与を上げるためには、無駄を省き、効率を上げていくことが必要です。 効率化により生まれた利益を従業員に還元することで、企業全体の成長が加速されます。

次回の記事では、収益源の発掘やクロスセル戦略を活用し、売上を増やして給与アップを目指す方法についてお伝えします。

 

事業再生の中でのオペレーションの重要性

現在、事業パートナーグループの「事業再生の取り組み」の中で「オペレーションの改善」は重要な役割を担っています。その理由としては、早期に・確実に利益を増やすことができるからです。

商品開発や販売戦略も売上・利益を向上させる有効な施策ですが、効果が出るまでに時間がかかる場合もあります。

その点、オペレーションの改善は、内容によっては、改善効果が早く得られます。

下図は、事業再生に取り組んだ企業でのオペレーション改善策の効果の一例を示しています。月単位で改善効果が現れていることがわかると思います。

*本図は、後述の研修会の資料から転記

 

実施の内容を研修会で

「事業パートナーグループ」では、「経営指導プロ養成研修会」(70時間、10日間)を行っています。講師は、事業パートナーグループで請負った「事業再生」案件に取り組んでいる専門家で、経験した事例を含めたより実践的な内容になっています。

第9期は5月12日に開講します。

 

 

1月11日(土)に第8期・第5回の「オペレーション」の講義が行われました。その中のエッセンスを紹介します。

<講師の紹介>

金谷 貴生 経営士

2012年 ソニー株式会社退職

    在職時には生産技術部門で、主に工場の現場改善として、

    「生産性向上」「品質向上」「コスト低減」活動を主導。

2013年 経営コンサルタントとして独立

    株式会社 ケーティーシー 代表取締役

2014年 株式会社 従心会倶楽部 

    「実践経営塾」講師、企業内研修を受託

2015年 株式会社 事業パートナーにて経営改善活動開始

<主な経営改善実績>

 

事業再生が必要な企業のオペレーション

事業再生が必要な中小企業は、時間とお金が限られています。そのために次の取り組み方が必要です。

(1)迅速に・的確に状況を把握する

事業再生中の企業は、早く効果を出さないとどんどん状況が悪化していきます。そのためには、現状を迅速に・的確に把握する必要があります。

企業の概要を事前に把握した後、現場での調査を行います。

(2)費用をかけない対策を立案

当然、事業再生中の企業には新規に投資するお金がありません。

そのため、設備投資を伴う対策ではなく、「工程改善」「作業改善」をまず行います。設備の改善が必要な場合は、少ない費用で実施できるようにします。

(3)経営トップの意識改革を促す

立案した対策を実施するためには、従業員全員の意識を改善に向けるには、経営トップの意識改革が必要です。

経営トップの中には、従来のやり方に固執する方もいらっしゃいますが、「現状分析の数値と改善予測数値」を示して納得してもらいます。

(4)現場の責任者・担当者とともに改善活動

現場にも目的や実施内容を伝え、納得してもらい、活動を実施します。改善結果の「見える化」を行い、関係する方々に効果を認識してもらい、やる気と達成感を感じられるように進めます。

 

 

オペレーション改善の重要ポイント

講義の中で示された金谷講師が指導を受けた「山田日登志先生」の教えを紹介します。

金谷講師の「オペレーションの改善」は、山田先生の教えがベースになっています。

(ウィキペディアより)

山田 日登志(やまだ ひとし、1939年~ )は、生産管理を専門とするコンサルタント。PEC産業教育センター所長。セル生産方式の発案者。生産現場のムダを排除する「ムダとり」の生みの親とされる。

1 3大ムダをなくす

(1) 運搬のムダ

運んでお金をもらえるのは運送会社だけ

(2) 停滞のムダ

溜めてお金をもらえるのは倉庫会社だけ

(3)手待ち(動作)のムダ

手待ちを見える化することが重要

<ムダを見るときの考え方>

顧客と企業の両方に必要なもの以外は「ムダ」である。企業の活動の中では、顧客にとって価値のないものに注力する場合もあり、よく考える必要があります。

*金谷講師の資料から

 

2 整理・整頓

山田先生は、5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の中で、「整理・整頓」に注力するように指導しています。

整理とは、必要なものと不要なものを分け、不要なものは捨てること。

整理しても捨てることができない会社は多い

整頓とは、必要な時に必要なものがすぐに取り出せること。

整列させて見栄えだけよくしている会社は多い

大事なのは、整理整頓に基づく「整流化」

整流化:モノや情報が淀みなく流れている状態

 

事業再生だけでなく業績の向上に

事業パートナーグループでは、オペレーションの改善は「事業再生」の中で行っていますが、現状の経営状態に資金上に問題がない企業で実施することも可能です。

この場合、再生企業では難しい、設備投資を伴う改善にも取り組むことができ、より大きな効果が出る可能性があります。

事業パートナーグループの「オペレーションの改善」は、製造現場だけでなく、様々な業種、職場で展開することができます。

現状を効果的に変革したいと考えている企業の方はぜひご連絡下さい。

連絡先はこちら

また、上記に示した「経営指導プロ養成講座」は、5月開講で第9期のプログラムを実施します。その中で、今回の「オペレーション」も組み込みますので、ぜひ、受講をご検討下さい。

 

コロナ禍の影響、原材料費・人件費の高騰、人手不足、後継者不在など経営環境が悪化している中で、事業の継続が難しくなっている企業が増えてきています。

事業パートナーグループにも、事業再生や廃業の相談が増えています。

これらの相談の中の幾つかを紹介していきます。

経営課題をお持ちの企業の方々に「事業再生」や「先の姿が見える廃業」に向けた参考になれば幸いです。

企業の経営支援を行っている士業・コンサルタントで、解決が難しい案件がありましたらご相談を承ります。連携して対応することも可能です。

事業再生相談 銀行口座の差押え対応

会社の現状

・社長の年齢:63 歳

・業種:自動車修理業 

売上:1 . 2 億円 ・ 債務超過:△5,000 万円

・現・預金残高:600 万円  ・借入残高:4,000 万円

・従業員:6 名

相談内容

国税及び社会保険料の滞納額が多額で、銀行口座の差押えを受けた。今後の経営をどのようにしたら良いか。

アドバイス

(1) まずは自社の事業の将来性があるかを判断する

つまり、今後の利益を出すことが可能かどうか。

(2) 国税と社会保険料の滞納に関する留意点

・新たに発生する納税分は必ず納税すること。
・既に延滞している分は少額納税で交渉する。
 *地域の所轄によっても異なるが、役所としては前向きに対応してくれると思われる。

(3) 廃業を決断した場合の留意点

・銀行借入残高に関しては社長が連帯保証人になっていることが多い。

そのために廃業時には保証協会や日本政策金融公庫と返済の交渉をする。

*現在は保証協会が大部分の銀行借入の債務保証をしているため

(4) 従業員への“解雇通知”は最低1ヶ月前にすること

 

(5)第二会社への移行に関しては専門的知識が必要なために弊社までご連絡を

経営上で何か問題が発生しても必ず解決の道はあります。
諦めずに考えてください。
それでも、適切な答えが出ない時は、私どもにご相談ください。

 

再生?廃業?第二会社?

依頼者の社⾧と奥様と⾧男の 3 名で弊社に経営相談に来られました。

現在の会社の状況

・業種は製造業

・営業利益:直近で赤字 2,000 万円

・売上は 5 億円

・社員 23 名(パートを含む)

・粗利率 8%

・借入金 4 億円、毎月の元金返済額 320 万円

社⾧ 68 歳、奥様 65 歳(経理担当)、⾧男 41 歳(営業部⾧)、⾧女は既婚、次男は他社勤

自宅の状況

・一戸建住宅 ・時価 3000 万円。保証人である社⾧所有

・住宅ローン: 普通抵当設定 3000 万円

・現在の借入残 2000 万円

相談内容

1  現在、資金繰りに窮している。新たに銀行に借入を依頼したいが、その方法を教えても
らいたい。

2 リスケジュール(リスケ)をした場合、その後の借入は不可能か?

3 会社の経営が苦しいので金利を下げてもらいたいが、どのように交渉したら良いか?

4 今後、現在の事業を継続すべきかを悩んでいる。

アドバイス

・会社の事業、労務、金融等の正確な会社の現状を把握するために 2 ヶ月間かけて調査を行
う。その後、具体的な実行計画を作成して実行する。

自宅の保全をする(住み続けられるようにする)。方法はセール&リースバックを活用。

・会社調査で判明した窮境原因の改善を 6 ヶ月以内におこない、赤字から黒字への転換を計る。

・会社調査で判明した現状を基に資金繰りが回る具体的な方法を実行する。リスケジュール
代位弁済を行う。

・新規の借入は考えない。返済に無理がある。

・現状での銀行への金利削減交渉は不可能なのでしない。

・会社調査結果を基にして「再生」「廃業」「第二会社」のいずれかを選択する。

<ポイント>

1 「事業再生」の場合は 3 年間で銀行の納得できる経営状況にする。

「廃業」の場合は「私的整理」をして、自宅保全(自宅に住み続けられるようにするという
こと)と銀行債務は保証人一人の収入範囲の返済額にとどめる

「第二会社」の場合には無借金でのスタートとなる。

以上で 3 時間の説明を終える。3 名の相談者は来社の時とはうって変わって笑顔でお帰りに
なった!!

 

経営上で何か問題が発生しても必ず解決の道はあります。
諦めずに考えてください。
それでも、適切な答えが出ない時は、私どもにご相談ください。

 

事業再編を行う手法

事業譲渡後に倒産する手法は、いわゆる「不良債務を切り離す」形で事業再編を行う方法の一つです。この手法は、事業の存続や再建を目指しつつ、過剰な負債を切り離すことが目的とされています。しかし、適切に行わないと法的リスクが発生するため、以下のような方法と注意点があります。

実施方法

1 事業譲渡の実施:

・まず、譲渡する会社は、健全な事業や資産を第三者または関連会社に譲渡します。ここで譲渡されるのは「事業そのもの」や「資産」であり、負債は譲渡の対象から外されることが多いです。

・具体的には、工場や店舗、商標、顧客リストなどの有形・無形資産を新しい会社へ移転します。

2 譲渡後に旧会社の倒産手続き:

・事業譲渡後、譲渡元の会社は残った負債のみを抱えた状態となり、債務超過に陥ることが多いため、倒産手続きを進めます。通常は、破産や民事再生手続きが選択されます。

注意すべき点

1 詐害行為取消しのリスク:

・倒産した会社が債権者を害する目的で不当に安価に資産を譲渡した場合、債権者から「詐害行為取消し」を申し立てられるリスクがあります。適正な価値で資産を譲渡し、債権者に不当な損害を与えないように注意が必要です。

2 会社法や倒産法の違法行為の回避:

・事業譲渡や倒産手続きが、債権者の利益を不当に害する形で行われると、会社法や倒産法の観点から違法と判断される可能性があります。特に、役員が個人的に利益を得る目的で不正な譲渡を行うと、刑事責任が問われることもあります。

3 債権者との調整:

・事業譲渡を行う前に、債権者との事前調整が重要です。債権者を納得させるためには、譲渡後の会社がどのように運営されるのか、負債の返済にどのように対応するのかを明確にする必要があります。

4 税務面での注意:

・事業譲渡には税務上の問題も伴います。譲渡利益に対して法人税が発生することがあり、その場合、譲渡価格が適正であるかが税務調査の対象となります。

その他の注意点

・取引先や従業員への影響:

事業譲渡に伴い、取引先や従業員の処遇についても考慮する必要があります。新しい会社との取引がスムーズに移行できるか、従業員の雇用が維持されるかどうかも重要な要素です。

・株主や役員の責任:

倒産手続きが始まると、旧会社の役員や株主がその行為に責任を問われる可能性があります。特に経営判断の透明性と合法性が求められます。

この手法を実施する場合、法的な手続きやリスクの回避を専門家と緊密に相談しながら進めることが極めて重要です。

 

新設会社への譲渡

新たに会社を設立し、その新会社に事業を譲渡して元の会社を倒産させる手法は、実務においてもよく利用されますが、慎重に進めなければ法的リスクや信用リスクが高まる可能性があります。この場合に特有の注意点を以下に示します。

注意すべき点

1 詐害行為のリスク(詐害行為取消権)

・新会社を設立して旧会社の事業を譲渡する際、債権者に損害を与える意図で行われたと見なされると、債権者が詐害行為取消しを申し立てることができます。特に、旧会社が資産を新会社に安価で譲渡し、負債のみが旧会社に残る場合、このリスクが高まります。譲渡価格が適正であること、債権者を害する意図がないことを証明できるように、譲渡に関する書類を適切に整備することが重要です。

2 関連会社間の取引の透明性

・旧会社と新会社が密接な関係にある場合、たとえば役員や株主が共通している場合、第三者(債権者、裁判所、税務当局など)から「実質的に同一会社による事業継続」とみなされる可能性があります。これにより、債権者からの異議申し立てや法的問題が生じるリスクがあるため、譲渡手続きや価格設定は透明性を持たせることが必要です。

3 旧会社の負債処理と債権者対応

・新会社に事業を移転した後、旧会社の債務が適切に処理されていない場合、旧会社の債権者が新会社に対して責任を追及する可能性があります。特に、新会社が実質的に旧会社と同じ事業を継続している場合や、旧会社の従業員や資産をそのまま引き継いでいる場合には、「会社の同一性」が問題になることがあります。このため、債権者との事前協議や、負債に対する清算計画が明確であることが重要です。

4 「実質的な事業継続」とみなされるリスク

・旧会社の業務が新会社で継続されると、裁判所や債権者から「実質的に同じ事業を別の会社で行っている」と見なされる場合があります。この場合、旧会社の債務を回避しようとする意図があると判断され、法的責任が新会社にも及ぶ可能性があります。例えば、新会社が旧会社の顧客や従業員、資産をそのまま引き継ぐ場合、このリスクが高まります。

5 税務上の問題

・新会社に事業を譲渡する場合、税務上の評価額に基づいて譲渡が適正に行われているかが重要です。不当に低い価格で譲渡が行われると、税務当局から調査を受けるリスクが高まります。また、事業譲渡に伴う消費税や譲渡所得税などの税務面の処理も適切に行う必要があります。

6 新会社の信用リスク

・新設会社に事業を譲渡した後、取引先や金融機関からの信用を維持できるかが課題となります。特に、旧会社の倒産が関係者に知られると、取引先や従業員の信頼が低下し、新会社との取引が難しくなる場合があります。このため、事業譲渡の際には、事業の継続性や新会社の経営計画について十分に説明する必要があります。

7 旧会社の清算計画と法的整理

・旧会社が倒産手続きを進める際、清算手続きや破産手続きが適切に進行することが重要です。旧会社の役員が新会社の役員に就任している場合、旧会社の清算手続きが適切に行われないと、新会社への影響が出る可能性があります。また、債権者が旧会社の清算を不満に思い、法的に異議を申し立てることもあり得ます。

実行時のポイント

・譲渡価格の適正性を確保:

新会社への事業譲渡に際して、専門家の評価を受け、適正価格で譲渡することが重要です。これにより、詐害行為や税務上の問題を回避できます。

・透明性を確保する:

旧会社と新会社の関係や、譲渡の目的、譲渡後の事業計画を明確にし、ステークホルダーに説明することで、リスクを軽減します。

事前に債権者と協議:

債権者との事前協議を行い、譲渡後の負債処理や倒産手続きに関して合意を得ることが、法的リスクを低減する上で重要です。

以上の点を踏まえ、事業譲渡の手続きや新会社の設立は、慎重に法的および税務的アドバイスを受けながら進める必要があります。

 

事業再生には様々な手法があります。対象会社の財務状況、事業内容、取り巻く環境等により、対応すべき内容が異なります。まずは現在の状況を把握することが重要です。

現状の把握が人的な面や時間的な面で実施できない場合は、「3期分の決算書」「借入一覧」「事業内容の資料」をご提供頂ければご相談に応じることは可能です。

帝国データバンク報告

倒産件数が6半期連続で増加

2024年10月8日に「帝国データバンク」から、「全国企業倒産集計・2024年度上半期報」が公表されています。今回、その概要を紹介します。

 

公表資料はこちら

 

倒産件数の推移

2024年度上半期の倒産件数は「4,990件」(前年同期:4,208件、18.6%増)で、上半期としては2013年度以来の 5,000件に迫る件数を記録しています。

半期ベースでみると、2021年度下半期(2,978件)以降、6期連続の増加になっています。

集計対象は、「負債1,000万円以上、法的整理による倒産」で、私的整理や廃業・解散等を加えると事業を停止した企業数は更に多いです。

倒産件数の移動平均(12ヶ月平均)

倒産件数の月毎の移動平均を次に示します。これを見ると、コロナ支援の「ゼロゼロ融資」が終了した頃から倒産件数が増加していることがわかります。

ホームページには、公表資料のポイントとして、

・業種別、規模別の倒産状況

・要因別の倒産の推移

  (1)物価高倒産

  (2)ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産

  (3)後継者難倒産

  (4)人手不足倒産

を紹介しています。

 

 

今後も生き延びるには

 

きちんとした経営を行う

 

帝国データバンクの報告の中に、「粉飾倒産」が急増、年間最多を更新へという内容も掲載されています。

2024年の粉飾決算は9月までで「74件」判明し、集計を開始した2016年以降で同期間(1月~9月)における最多を更新したとのことです。

多くの金融機関が粉飾決算を見抜けなかったケースも多く、金融機関に借入金の返済猶予や追加支援を申し入れた際に発覚する事例が相次いでおり、今後も増えると思われます。

以前に粉飾決算に関する記事を掲載しているので参考にして下さい

「コンプライアンス違反の倒産増加」の記事はこちら

「日本弁護士会」がまとめた「中小企業のコンプライアンス・チェックシート」も紹介しています。

 

 

事業ドメインが大事

既存事業では、成熟期あるいは衰退期に入っていて、今後の成長が難しい場合があります。ほとんどの企業は「今後の展開」について不安を持っていると思います。

現在、多くの中小企業が将来に対して不安を抱いている背景には、急速な市場環境の変化や競争の激化、さらには技術革新によるビジネスモデルの変化があります。不安を解消するためには、目の前の問題に対処するだけでなく、長期的な視点で自社の立ち位置を見直し、意味のある事業計画を立てることが重要です。事業計画を立案するための前段階として「事業ドメイン」の再設定が必要です。

 

事業ドメイン」とは、企業が「何を(商品・サービス)」「誰に(市場・顧客)」「どのように(生産や販売の展開方法)」提供するのかを定義するものであり、企業活動の基盤となるものです。しかし、市場の変化や顧客のニーズの多様化に伴い、一度設定した事業ドメインが時代になることもあります。これを放置すると、企業は競争力を踏まえ、経営の持続が困難になるリスクが生じます。

 

中小企業が将来の不安を解消し、持続的に成長するためには、まずは自社の「事業ドメイン」を再設定することが重要です。そして、この事業ドメインの再設定を基盤とし、実効性のある事業計画を立てることで、経営の安定性を向上させ、発展させることが可能になります。

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