愛知県名古屋市で経営コンサルティングを行う

〒456-0051 愛知県名古屋市熱田区四番二丁目14-34
地下鉄名港線六番町駅徒歩9分 駐車場:有り

9:00~18:00(土曜・日曜・祝日を除く)

052-652-0218

経営ブログ

事業再編を行う手法

事業譲渡後に倒産する手法は、いわゆる「不良債務を切り離す」形で事業再編を行う方法の一つです。この手法は、事業の存続や再建を目指しつつ、過剰な負債を切り離すことが目的とされています。しかし、適切に行わないと法的リスクが発生するため、以下のような方法と注意点があります。

実施方法

1 事業譲渡の実施:

・まず、譲渡する会社は、健全な事業や資産を第三者または関連会社に譲渡します。ここで譲渡されるのは「事業そのもの」や「資産」であり、負債は譲渡の対象から外されることが多いです。

・具体的には、工場や店舗、商標、顧客リストなどの有形・無形資産を新しい会社へ移転します。

2 譲渡後に旧会社の倒産手続き:

・事業譲渡後、譲渡元の会社は残った負債のみを抱えた状態となり、債務超過に陥ることが多いため、倒産手続きを進めます。通常は、破産や民事再生手続きが選択されます。

注意すべき点

1 詐害行為取消しのリスク:

・倒産した会社が債権者を害する目的で不当に安価に資産を譲渡した場合、債権者から「詐害行為取消し」を申し立てられるリスクがあります。適正な価値で資産を譲渡し、債権者に不当な損害を与えないように注意が必要です。

2 会社法や倒産法の違法行為の回避:

・事業譲渡や倒産手続きが、債権者の利益を不当に害する形で行われると、会社法や倒産法の観点から違法と判断される可能性があります。特に、役員が個人的に利益を得る目的で不正な譲渡を行うと、刑事責任が問われることもあります。

3 債権者との調整:

・事業譲渡を行う前に、債権者との事前調整が重要です。債権者を納得させるためには、譲渡後の会社がどのように運営されるのか、負債の返済にどのように対応するのかを明確にする必要があります。

4 税務面での注意:

・事業譲渡には税務上の問題も伴います。譲渡利益に対して法人税が発生することがあり、その場合、譲渡価格が適正であるかが税務調査の対象となります。

その他の注意点

・取引先や従業員への影響:

事業譲渡に伴い、取引先や従業員の処遇についても考慮する必要があります。新しい会社との取引がスムーズに移行できるか、従業員の雇用が維持されるかどうかも重要な要素です。

・株主や役員の責任:

倒産手続きが始まると、旧会社の役員や株主がその行為に責任を問われる可能性があります。特に経営判断の透明性と合法性が求められます。

この手法を実施する場合、法的な手続きやリスクの回避を専門家と緊密に相談しながら進めることが極めて重要です。

 

新設会社への譲渡

新たに会社を設立し、その新会社に事業を譲渡して元の会社を倒産させる手法は、実務においてもよく利用されますが、慎重に進めなければ法的リスクや信用リスクが高まる可能性があります。この場合に特有の注意点を以下に示します。

注意すべき点

1 詐害行為のリスク(詐害行為取消権)

・新会社を設立して旧会社の事業を譲渡する際、債権者に損害を与える意図で行われたと見なされると、債権者が詐害行為取消しを申し立てることができます。特に、旧会社が資産を新会社に安価で譲渡し、負債のみが旧会社に残る場合、このリスクが高まります。譲渡価格が適正であること、債権者を害する意図がないことを証明できるように、譲渡に関する書類を適切に整備することが重要です。

2 関連会社間の取引の透明性

・旧会社と新会社が密接な関係にある場合、たとえば役員や株主が共通している場合、第三者(債権者、裁判所、税務当局など)から「実質的に同一会社による事業継続」とみなされる可能性があります。これにより、債権者からの異議申し立てや法的問題が生じるリスクがあるため、譲渡手続きや価格設定は透明性を持たせることが必要です。

3 旧会社の負債処理と債権者対応

・新会社に事業を移転した後、旧会社の債務が適切に処理されていない場合、旧会社の債権者が新会社に対して責任を追及する可能性があります。特に、新会社が実質的に旧会社と同じ事業を継続している場合や、旧会社の従業員や資産をそのまま引き継いでいる場合には、「会社の同一性」が問題になることがあります。このため、債権者との事前協議や、負債に対する清算計画が明確であることが重要です。

4 「実質的な事業継続」とみなされるリスク

・旧会社の業務が新会社で継続されると、裁判所や債権者から「実質的に同じ事業を別の会社で行っている」と見なされる場合があります。この場合、旧会社の債務を回避しようとする意図があると判断され、法的責任が新会社にも及ぶ可能性があります。例えば、新会社が旧会社の顧客や従業員、資産をそのまま引き継ぐ場合、このリスクが高まります。

5 税務上の問題

・新会社に事業を譲渡する場合、税務上の評価額に基づいて譲渡が適正に行われているかが重要です。不当に低い価格で譲渡が行われると、税務当局から調査を受けるリスクが高まります。また、事業譲渡に伴う消費税や譲渡所得税などの税務面の処理も適切に行う必要があります。

6 新会社の信用リスク

・新設会社に事業を譲渡した後、取引先や金融機関からの信用を維持できるかが課題となります。特に、旧会社の倒産が関係者に知られると、取引先や従業員の信頼が低下し、新会社との取引が難しくなる場合があります。このため、事業譲渡の際には、事業の継続性や新会社の経営計画について十分に説明する必要があります。

7 旧会社の清算計画と法的整理

・旧会社が倒産手続きを進める際、清算手続きや破産手続きが適切に進行することが重要です。旧会社の役員が新会社の役員に就任している場合、旧会社の清算手続きが適切に行われないと、新会社への影響が出る可能性があります。また、債権者が旧会社の清算を不満に思い、法的に異議を申し立てることもあり得ます。

実行時のポイント

・譲渡価格の適正性を確保:

新会社への事業譲渡に際して、専門家の評価を受け、適正価格で譲渡することが重要です。これにより、詐害行為や税務上の問題を回避できます。

・透明性を確保する:

旧会社と新会社の関係や、譲渡の目的、譲渡後の事業計画を明確にし、ステークホルダーに説明することで、リスクを軽減します。

事前に債権者と協議:

債権者との事前協議を行い、譲渡後の負債処理や倒産手続きに関して合意を得ることが、法的リスクを低減する上で重要です。

以上の点を踏まえ、事業譲渡の手続きや新会社の設立は、慎重に法的および税務的アドバイスを受けながら進める必要があります。

 

事業再生には様々な手法があります。対象会社の財務状況、事業内容、取り巻く環境等により、対応すべき内容が異なります。まずは現在の状況を把握することが重要です。

現状の把握が人的な面や時間的な面で実施できない場合は、「3期分の決算書」「借入一覧」「事業内容の資料」をご提供頂ければご相談に応じることは可能です。

帝国データバンク報告

倒産件数が6半期連続で増加

2024年10月8日に「帝国データバンク」から、「全国企業倒産集計・2024年度上半期報」が公表されています。今回、その概要を紹介します。

 

公表資料はこちら

 

倒産件数の推移

2024年度上半期の倒産件数は「4,990件」(前年同期:4,208件、18.6%増)で、上半期としては2013年度以来の 5,000件に迫る件数を記録しています。

半期ベースでみると、2021年度下半期(2,978件)以降、6期連続の増加になっています。

集計対象は、「負債1,000万円以上、法的整理による倒産」で、私的整理や廃業・解散等を加えると事業を停止した企業数は更に多いです。

倒産件数の移動平均(12ヶ月平均)

倒産件数の月毎の移動平均を次に示します。これを見ると、コロナ支援の「ゼロゼロ融資」が終了した頃から倒産件数が増加していることがわかります。

ホームページには、公表資料のポイントとして、

・業種別、規模別の倒産状況

・要因別の倒産の推移

  (1)物価高倒産

  (2)ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産

  (3)後継者難倒産

  (4)人手不足倒産

を紹介しています。

 

 

今後も生き延びるには

 

きちんとした経営を行う

 

帝国データバンクの報告の中に、「粉飾倒産」が急増、年間最多を更新へという内容も掲載されています。

2024年の粉飾決算は9月までで「74件」判明し、集計を開始した2016年以降で同期間(1月~9月)における最多を更新したとのことです。

多くの金融機関が粉飾決算を見抜けなかったケースも多く、金融機関に借入金の返済猶予や追加支援を申し入れた際に発覚する事例が相次いでおり、今後も増えると思われます。

以前に粉飾決算に関する記事を掲載しているので参考にして下さい

「コンプライアンス違反の倒産増加」の記事はこちら

「日本弁護士会」がまとめた「中小企業のコンプライアンス・チェックシート」も紹介しています。

 

 

事業ドメインが大事

既存事業では、成熟期あるいは衰退期に入っていて、今後の成長が難しい場合があります。ほとんどの企業は「今後の展開」について不安を持っていると思います。

現在、多くの中小企業が将来に対して不安を抱いている背景には、急速な市場環境の変化や競争の激化、さらには技術革新によるビジネスモデルの変化があります。不安を解消するためには、目の前の問題に対処するだけでなく、長期的な視点で自社の立ち位置を見直し、意味のある事業計画を立てることが重要です。事業計画を立案するための前段階として「事業ドメイン」の再設定が必要です。

 

事業ドメイン」とは、企業が「何を(商品・サービス)」「誰に(市場・顧客)」「どのように(生産や販売の展開方法)」提供するのかを定義するものであり、企業活動の基盤となるものです。しかし、市場の変化や顧客のニーズの多様化に伴い、一度設定した事業ドメインが時代になることもあります。これを放置すると、企業は競争力を踏まえ、経営の持続が困難になるリスクが生じます。

 

中小企業が将来の不安を解消し、持続的に成長するためには、まずは自社の「事業ドメイン」を再設定することが重要です。そして、この事業ドメインの再設定を基盤とし、実効性のある事業計画を立てることで、経営の安定性を向上させ、発展させることが可能になります。

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ・相談予約

052-652-0218

<受付時間>
9:00~18:00
※土曜・日曜・祝日は除く

フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。

株式会社事業パートナー東海

住所

〒456-0051
愛知県名古屋市
熱田区四番二丁目14-34

アクセス

地下鉄名港線六番町駅徒歩9分
駐車場:有り

受付時間

9:00~18:00

定休日

土曜・日曜・祝日