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事業譲渡のメリット

事業譲渡とは、企業がその事業の一部または全部を他の企業に譲渡することを指します。これは株式譲渡と異なり、事業そのものを構成する資産や負債、契約などを包括的に譲渡する行為です。

事業譲渡は、経営戦略の一環として行われることが多く、譲渡側と譲受側の双方にメリットがあります。

 

事業を譲る側のメリット

1 資金調達

・不採算部門や不要な事業を売却することで、資金を調達できる。

・資金を新たな成長分野や核心事業に投資することが可能。

2 経営効率の向上

・事業の整理・再編を通じて、経営資源をより効率的に活用できる。

・不採算部門の売却により、全体の収益性が向上する。

3 負債の圧縮

・事業譲渡を通じて、関連する負債を譲渡することが可能。

・財務健全性の向上を図ることができる。

4 事業再生・リストラの一環

・経営難に陥っている事業を譲渡することで、企業全体の再生を図ることができる。

 

事業を受ける側のメリット

1 市場シェアの拡大

・事業譲渡により、短期間で新市場への参入や市場シェアの拡大が可能。

・既存の顧客基盤やブランドを活用できる。

2 スケールメリットの獲得

・同業種の事業を取り込むことで、スケールメリットを享受できる。

・生産コストや運営コストの削減が期待できる。

3 技術・ノウハウの獲得

・譲渡される事業から新たな技術やノウハウを取得できる。

・自社の技術力や競争力の強化につながる。

4 人的資源の確保

・優秀な人材を含む事業を譲り受けることで、人的資源を強化できる。

・採用リスクを抑えた形で即戦力を得ることが可能。

 

事業譲渡のプロセス

事業譲渡は以下のプロセスを経て実施されます。

1 事前準備

・事業譲渡の目的や範囲を明確にする。

・財務状況や資産評価を行う。

2 相手先の選定

・事業を譲り受ける適切な企業を選定する。

・譲渡条件の交渉を行う。

3 デューデリジェンス(精査)

・譲受側が事業の詳細を調査し、リスク評価を行う。

4 契約の締結

・事業譲渡契約を締結する。

・必要な法的手続きを完了する。

5 事業の引き継ぎ

・資産や負債の移転手続きを行う。

・社員や顧客への説明と調整を実施する。

事業譲渡は、両者にとって大きなメリットをもたらす一方で、計画的かつ慎重な準備と実行が求められます。適切な専門家の助言を得ながら進めることが重要です。

 

事業譲渡の中での当社(経営コンサルタント)の役割

事業譲渡のプロセスにおいて、当社は、経営コンサルタントとして、重要な役割を果たすことができます。

以下は、当社が関与する主要な部分とその具体的な支援内容です。

1 事前準備段階

役割:

・事業譲渡の目的や範囲の明確化

・財務分析および事業評価の実施

具体的な支援内容:

・企業の経営戦略に基づき、事業譲渡の目的や目標を設定するサポート。

・売却対象事業の財務状況を詳細に分析し、適正な事業価値を評価する。

・事業譲渡によるリスクやメリットを明確化し、経営陣に助言を行う。

2 相手先の選定段階

役割:

・適切な譲渡先候補の探索

・譲渡条件の交渉支援

具体的な支援内容:

・市場調査を通じて、譲渡先候補企業をリストアップし、潜在的な買収企業との接触を図る。

・譲渡条件(価格、支払条件、譲渡範囲など)の設定と、譲渡先候補との交渉をサポート。

・適切な譲渡先の選定に向けたデューデリジェンスの実施支援。

3 デューデリジェンス(精査)段階

役割:

・事業の精査とリスク評価

・デューデリジェンスの実施管理

具体的な支援内容:

・財務、法務、税務、労務などの専門家と連携し、対象事業の全般的なデューデリジェンスを実施。

・リスク要因の特定と、そのリスクに対する対応策の提案。

・デューデリジェンスの進行管理と、結果を基にした譲渡条件の見直し助言。

4 契約の締結段階

役割:

・事業譲渡契約の作成と締結支援

・法的手続きの支援

具体的な支援内容:

・事業譲渡契約書の作成支援と、契約内容の確認。

・譲渡に関する法的手続きを円滑に進めるためのアドバイス。

・必要な許認可の取得や規制対応のサポート。

5 事業の引き継ぎ段階

役割:

・事業移転の計画と実行支援

・スムーズな事業継承の確保

具体的な支援内容:

・資産や負債の移転手続きの管理と実行支援。

・社員や顧客への説明と調整のサポート。

・移行期間中の業務プロセスの最適化と、円滑な事業運営のための助言。

・経営体制や組織変更に関するアドバイス。

 

当社は、事業譲渡の各段階で専門的な知識と経験を提供し、企業が最適な条件で事業譲渡を成功させるための支援を行います。当社の役割は、戦略的なアドバイスから実務的なサポートまで多岐にわたり、企業の重要な意思決定を支えるパートナーとなります。

私的整理の主要なスキーム

事業再生の私的整理における2つの主要なスキームについて説明します。

1)中小企業活性化協議会のスキーム

内容: 中小企業活性化協議会は、中小企業の経営改善や再生を支援するために設立された組織であり、各地域(都道府県)に存在しています。このスキームでは、中小企業が抱える財務問題を解決するために、金融機関や専門家と協力して再生計画を策定し、実行します。

特徴:

・協議会の存在: 各地域に設置された中小企業活性化協議会が主導し、中小企業の再生を支援。

・専門家の支援: 税理士、公認会計士、弁護士などの専門家が再生計画の策定と実行を支援。

・金融機関との協力: 主に地域の金融機関との協力により、資金調達や債務再編を行う。

・早期の相談: 経営状況が悪化する前に早期に相談することが奨励されている。

2)事業再生ガイドラインに基づくスキーム

内容: 事業再生ガイドラインは、事業の再生を目指す企業が、金融機関や債権者と協力して再生計画を策定し、実行するための指針を提供するものです。ガイドラインは、企業が再生に向けて具体的な行動を取る際の手引きとなります。

特徴:

・透明性: 事業再生のプロセスが透明であり、ステークホルダー間の信頼関係を築くことが重視される。

・迅速性: 迅速な再生計画の策定と実行が求められる。

・協力体制: 企業、金融機関、その他のステークホルダーが協力して再生計画を進める。

・事前合意: 債権者や利害関係者との事前合意が重視され、計画の実現可能性が高まる。

両スキームの違い

1 主導者の違い:

・中小企業活性化協議会: 各地域の協議会が主導し、中小企業の再生を支援する。

・事業再生ガイドライン: 企業自身が主導し、ガイドラインに基づいて再生計画を策定する。

2 対象企業の違い:

・中小企業活性化協議会: 主に中小企業を対象とする。

・事業再生ガイドライン: 規模に関わらず、再生を目指す企業全般を対象とする。

3 支援体制の違い:

・中小企業活性化協議会: 地域の金融機関や専門家のネットワークを活用して支援する。

・事業再生ガイドライン: 企業が自主的にガイドラインを活用し、金融機関や債権者との協力を図る。

4 プロセスの違い:

・中小企業活性化協議会: 相談から再生計画の策定、実行までのプロセスが協議会によってサポートされる。

・事業再生ガイドライン: ガイドラインに従い、企業が再生計画を自主的に策定し、実行する。

これらのスキームは、それぞれの企業の状況やニーズに応じて適用され、最適な再生方法を選択することが重要です。

 

事業再生支援の専門家の役割

中小企業活性化協議会スキームと事業再生ガイドラインのスキームにおける専門家の位置付け、選任方法、役割について説明します。

中小企業活性化協議会スキームの専門家

位置付け: 中小企業活性化協議会スキームにおいて、専門家は企業の経営改善や再生計画の策定・実行をサポートする重要な役割を担います。協議会の一部として活動し、企業に対して専門的なアドバイスを提供します。

選任方法: 専門家は、協議会のネットワークから選ばれます。通常、税理士、公認会計士、弁護士、中小企業診断士などの資格を持つ専門家が、協議会のメンバーや協力者として登録されています。企業の具体的な状況に応じて、適切な専門家が選任されます。

役割:

・経営診断: 企業の経営状況を診断し、問題点を洗い出す。

・再生計画の策定: 企業の状況に応じた現実的な再生計画を策定する。

・債務再編: 債務の再編成や資金調達の支援を行う。

・実行支援: 再生計画の実行をサポートし、進捗を監視する。

・アドバイス: 継続的な経営改善に向けたアドバイスを提供する。

事業再生ガイドラインの第三者専門家

位置付け: 事業再生ガイドラインのスキームでは、第三者専門家は企業と金融機関・債権者の間で中立的な立場を保ちつつ、再生計画の策定と実行を支援する重要な役割を果たします。第三者専門家は、ステークホルダー間の調整役として機能します。

選任方法: 第三者専門家は、企業と主要な債権者が協議して選任します。通常、再生に関する豊富な経験と高い専門性を持つ公認会計士や弁護士が選ばれることが多いです。選任に際しては、企業の特性や再生の複雑さに応じて適切な専門家が選ばれます。

役割:

・調整役: 企業と債権者の間で公正かつ中立な立場を保ちながら、調整役として機能する。

・再生計画の策定: 企業と協力し、現実的かつ実行可能な再生計画を策定する。

・債権者との交渉: 債権者との交渉をサポートし、合意形成を図る。

・進捗管理: 再生計画の実行状況を監視し、必要に応じて改善策を提案する。

・透明性の確保: すべてのステークホルダーに対して透明性を確保し、信頼関係を築く。

違いと共通点

違い:

・位置付け: 中小企業活性化協議会の専門家は協議会の一部として活動するのに対し、事業再生ガイドラインの第三者専門家は中立的な立場で調整役を担う。

・選任方法: 中小企業活性化協議会の専門家は協議会のネットワークから選ばれるが、事業再生ガイドラインの第三者専門家は企業と債権者の協議で選任される。

・役割: 中小企業活性化協議会の専門家は主に再生計画の策定・実行支援を行うが、事業再生ガイドラインの第三者専門家は調整役や透明性の確保にも重きを置く。

共通点:

・両者ともに企業の再生を支援するための専門的なアドバイスを提供し、計画の実行をサポートする。

・再生計画の策定において、企業の財務状況や経営状況の診断を行う。

 

事業再生の手法には様々な手法があります。ここで示した「私的整理」の他に裁判所が関与する「民事再生」もあります。

当社では、事業再生(経営再建)に関してご相談頂ければ、現状を把握して最適な進め方をご提案します。

なお、事業再生に取り組むには早い段階の着手がより良い結果を導き出します。経営に少しでも不安を感じたらお問い合せ下さい。

金融機関から融資を受ける際に付けられる「経営者保証」は、M&Aの際にしばしば課題となります。この点について、通常の処理方法と売手が注意すべき点を以下にまとめます。

経営者保証の扱いに関する通常の処理

保証の解除:

M&Aの際、売手は金融機関に対して経営者保証の解除を求めるのが一般的です。新しいオーナーに対して保証を付け替えるか、もしくは保証なしで融資を継続するよう交渉します。

新オーナーへの引き継ぎ:

新オーナーが経営者保証を引き継ぐ場合もあります。この際、金融機関との協議が必要となり、新しい経営者の信用力が重要となります。

融資の返済:

M&Aの一環として、既存の融資を全額返済し、経営者保証を解除する方法もあります。その後、新オーナーが新たな融資を受ける形となります。

売手が気をつけなければならない点

1 金融機関との事前協議:

M&Aを計画する段階で、金融機関と経営者保証の扱いについて早めに協議することが重要です。金融機関の意向を確認し、スムーズな移行を図ります。

2 保証解除の条件確認:

保証解除の条件を確認し、必要な手続きを把握します。場合によっては、新オーナーの信用力を示すための資料や、追加の担保が必要となることがあります。

3 デューデリジェンスの実施:

M&Aのデューデリジェンスにおいて、経営者保証の状況を明確にし、潜在的なリスクを把握します。買手に対して正確な情報を提供することで、後のトラブルを防ぎます。

4 契約条項の明記:

経営者保証に関する取り扱いについて、M&A契約書に明記します。具体的な処理方法、責任の所在、解除手続きの進行状況などを詳細に記載します。

5 適切な専門家の活用:

弁護士やM&Aアドバイザーなどの専門家を活用し、金融機関との交渉や契約書の作成を円滑に進めることが重要です。専門家の助言を得ることで、最適な解決策を見つけることができます。

 

最近の問題と解決策

最近では、経営者保証の解除がスムーズに進まないケースが報告されています。金融機関が新オーナーの信用力に不安を感じる場合や、融資条件の見直しが必要となる場合があります。これを解決するためには、以下の対応が考えられます。

信用力の向上:

新オーナーの信用力を向上させるために、経営計画の詳細を金融機関に提示し、信頼を得る努力を行います。

追加の担保提供:

新オーナーが追加の担保を提供することで、金融機関の不安を解消する方法もあります。

専門家の仲介:

M&Aアドバイザーや金融機関の担当者との綿密な連携を図り、スムーズな交渉を行うことが求められます。

これらの点を注意することで、M&Aにおける経営者保証の課題を適切に処理し、スムーズな事業譲渡を実現することが可能です。

 

株式会社事業パートナー東海では、「M&Aセルサイドアドバイザー」として売手企業の支援を行っています。M&Aの仲介会社に依頼すると、「買手」が優位な立場になりがちです。当社は「売手の立場」になって、妥当な譲渡金額を算出し、買手の探索、交渉を行います。

後継者不在の対応や事業の集中のためにM&Aでの株式・事業譲渡をご検討の方はお問い合せ下さい。

創業間もなくて財務状況が安定しない会社の場合、銀行からの融資として「保証協会の保証」付き融資の可能性があります。この「保証協会」の設立の経緯、目的、実施内容を整理して紹介します。

保証協会の設立の経緯、目的、実施内容

設立の経緯

信用保証協会は、中小企業や小規模事業者が事業資金を円滑に調達できるように支援するために設立されました。特に、信用力が乏しい創業間もない企業や財務状況が安定しない企業にとって、銀行からの融資を受けることが難しい場合があります。これを解消するため、各都道府県に信用保証協会が設立されました。

目的

信用保証協会の主な目的は、中小企業や小規模事業者が金融機関からの融資を円滑に受けられるように信用保証を提供することです。これにより、地域経済の活性化や雇用の創出、企業の成長を支援します。

実施内容

1 信用保証の提供中小企業や小規模事業者が金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会が保証人となることで、金融機関はリスクを軽減し、融資を実行しやすくなります。

2 経営支援信用保証を受けた企業に対して、経営相談や支援サービスを提供し、企業の成長をサポートします。

3 保証料の徴収保証を提供する代わりに、企業から保証料を徴収します。この保証料は、保証協会の運営費やリスクヘッジに充てられます。

保証協会の保証の範囲

保証協会は通常、融資の一定割合(例えば80%~100%)を保証します。具体的な保証割合や保証限度額は、各協会や融資の種類によって異なります。

一般的な保証割合

・全額保証一部の特定の条件を満たす融資については、全額保証(100%保証)を行うことがあります。

・部分保証多くの場合、80%~90%の保証が一般的です。つまり、融資額の80%~90%を保証し、残りの10%~20%は金融機関がリスクを負う形となります。

保証限度額

保証限度額は協会や融資の目的により異なりますが、一般的には数百万円から数億円規模の保証が行われます。具体的な限度額は信用保証協会の規定に基づき決定されます。

まとめ

信用保証協会は、中小企業や小規模事業者が金融機関からの融資を受けやすくするために設立されました。保証協会は、融資の一定割合を保証することで、金融機関のリスクを軽減し、企業が必要な資金を調達するサポートを行っています。保証の具体的な内容や割合、限度額は協会や融資の種類によって異なるため、詳細については各信用保証協会に確認することをお勧めします。

 

保証付き融資のメリットとデメリット

メリット

1 融資の獲得が容易になる

・信用保証協会が保証人として支援するため、金融機関はリスクを軽減し、通常よりも融資を実行しやすくなります。特に創業間もない企業や信用力が乏しい企業にとっては大きなメリットです。

2 低金利での融資が可能

・信用保証協会の保証があることで、金融機関はリスクを抑えられるため、通常よりも低金利で融資を提供することが可能になります。

3 経営支援を受けられる

・信用保証協会は、保証を提供するだけでなく、経営に関するアドバイスや支援を提供します。これにより、企業は経営改善や成長を図ることができます。

4 資金調達の多様化

・保証付き融資を利用することで、企業は自己資金や他の資金調達手段と組み合わせて資金を確保し、事業拡大や運転資金の確保を図ることができます。

デメリット

1 保証料の負担

・信用保証協会に保証を依頼するためには保証料が必要です。この保証料は融資額に対して一定割合で計算され、企業にとっては追加のコストとなります。

2 審査が厳しい

・信用保証協会は、保証を提供する前に企業の財務状況や事業計画を詳細に審査します。この審査が厳しいため、全ての企業が保証を受けられるわけではありません。

3 手続きが複雑

・保証付き融資を受けるためには、信用保証協会と金融機関の両方で手続きを行う必要があります。このため、通常の融資に比べて手続きが複雑で時間がかかる場合があります。

4 信用リスクの管理が必要

・保証付き融資を受ける企業は、信用保証協会との契約に基づき、定期的な報告や財務管理を求められることがあります。これにより、企業は信用リスクの管理を徹底する必要があります。

まとめ

保証付き融資は、中小企業や創業間もない企業にとって、資金調達の重要な手段となります。金融機関からの融資を受けやすくし、低金利での資金調達を可能にする一方で、保証料の負担や手続きの複雑さといったデメリットも存在します。企業はこれらのメリットとデメリットを理解し、自社の状況に応じた資金調達手段を選択することが重要です。

 

代位弁済の制度の説明

代位弁済とは

代位弁済とは、借入金を返済できなくなった場合に、信用保証協会が借入企業に代わって金融機関に対して返済を行う制度です。この仕組みは、企業が金融機関から借り入れを行う際に、信用保証協会が保証人となることで成り立っています。企業が返済不能に陥った場合、金融機関は信用保証協会から代位弁済を受けることができます。

代位弁済の流れ

1 企業が返済不能に陥る:

・企業が融資の返済を行えなくなると、金融機関は企業に対して返済の督促を行います。

2 代位弁済の請求:

・企業の返済が困難な場合、金融機関は信用保証協会に対して代位弁済の請求を行います。

3 信用保証協会が代位弁済を実行:

・信用保証協会は、金融機関に対して企業に代わって融資の残額を支払います。この際、金融機関は借入金の回収を信用保証協会に委ねます。

4 信用保証協会が債権者となる:

・代位弁済が実行された後、信用保証協会が企業に対する債権者となり、企業は信用保証協会に対して返済義務を負います。

代位弁済後の会社の返済方法

1 信用保証協会との返済計画の策定:

・企業は信用保証協会と相談し、返済計画を策定します。返済計画には、返済期間や返済額、返済方法などが含まれます。通常、分割払いでの返済が認められることが多いです。

2 利息や遅延損害金の支払い:

・代位弁済が行われた場合、信用保証協会に対して元金の返済だけでなく、一定の利息や遅延損害金が発生することがあります。これらの条件についても、返済計画に含められます。

3 財務状況の報告:

・信用保証協会は、企業の財務状況や事業計画を定期的に確認します。企業は定期的に財務報告を行い、返済能力を示す必要があります。

4 再交渉の可能性:

・企業が再び返済困難な状況に陥った場合、信用保証協会と再度交渉し、返済条件の変更や猶予を求めることができます。ただし、信用保証協会がこれを受け入れるかどうかは、企業の状況や過去の返済履歴に依存します。

まとめ

代位弁済制度は、企業が金融機関からの借入金を返済できなくなった際に、信用保証協会が企業に代わって返済を行う仕組みです。代位弁済が行われた後、企業は信用保証協会に対して返済義務を負い、返済計画の策定や定期的な報告が求められます。企業にとっては、代位弁済が最後の救済手段となるため、これに頼ることなく、健全な財務管理を行うことが重要です。

「事業再生」の検討をを行っている中で「破産」を考えなければならない局面もでてきます。当社の事業再生の取組みの中では、「破産」を避ける方向で進めていますが、「破産」の手続きを理解しておくことは意味があります。

ここでは、破産の手続きと関与する人物の役割を紹介します。

破産手続・実行の流れ

破産手続は、債務者がその債務を履行することができない場合に、裁判所の監督のもとで債務者の財産を整理し、債権者に対する公正な分配を図るための手続です。以下に一般的な破産手続の流れを示します。

1 破産申立

・債務者自身または債権者が裁判所に対して破産の申立を行います。

2 保全処分

・裁判所は破産手続開始決定前に、債務者の財産を保全するための保全処分を命じることがあります。

3 破産手続開始決定

・裁判所が破産手続開始決定を行います。この段階で破産管財人が選任されます。

4 債権者集会

・破産管財人が債務者の財産を調査し、債権者に対する配当の計画を立てます。

5 財産の売却と配当

・破産管財人が債務者の財産を売却し、得られた資金を債権者に分配します。

6 破産手続の終結

・財産の分配が終了し、裁判所が破産手続の終結を宣言します。

各登場人物の役割

申立代理人

登場する状況

・破産の申立時に登場します。債務者または債権者が破産を申立てる際に、法律の専門家として代理を務めます。

役割

・破産申立書の作成および提出。

・債務者の財産や債務の状況について裁判所に説明。

・破産手続の進行中において、債務者や債権者を代表して裁判所とのコミュニケーションを行う。

保全管理人

登場する状況

・保全処分の段階で登場します。破産手続開始決定前に、裁判所が債務者の財産を保全するために選任することがあります。

役割

・債務者の財産の保全と管理。

・財産の隠匿や散逸を防ぐための措置。

・財産の現状を調査し、裁判所に報告。

破産管財人

登場する状況

・破産手続開始決定後に登場します。裁判所によって選任され、破産手続全体を監督・管理します。

役割

・債務者の財産の管理および処分。

・債務者の財産調査と債権者への報告。

・債権者集会の開催と配当計画の作成。

・財産の売却と得られた資金の債権者への配当。

債務者

登場する状況

・破産手続全体に関わります。破産申立を行う主体であり、手続中も財産や債務の状況について情報提供を行います。

役割

・破産申立時に必要な情報の提供。

・破産管財人や裁判所に対する協力。

・債権者集会への参加。

債権者

登場する状況

・破産手続全体に関わります。債務者からの債権を持ち、配当を受ける権利を有します。

役割

・債権の届出とその証明。

・債権者集会への参加と意見表明。

・破産手続における配当を受ける。

裁判所

登場する状況

・破産手続全体を監督し、各段階で重要な決定を行います。

役割

・破産手続開始決定の下達。

・保全処分の命令。

・破産管財人の選任。

・債権者集会の招集と手続の進行管理。

 

これらの登場人物が連携しながら、破産手続は進行していきます。それぞれの役割を理解し、適切に対応することが重要です。

「破産」についてその手続き、関係者の役割を記載しましたが、当社では「破産しない事業再生」を目指しています。

事業再生には様々な進め方がありますので、対象会社の状況を把握して、最適な進め方を検討します。

また、事業再生に取り組むには早い段階での着手が重要です。経営の中で不安がありましたら、早めにご連絡下さい。

 

事業再生において銀行等が債務免除を行った場合、その会社には「債務免除益」が発生します。この債務免除益は通常の収益と同様に課税対象となりますが、繰越欠損金がある場合、その取り扱いが重要です。

● 通常の利益  会社の通常の営業活動などから得られる利益を指します。

● 債務免除益  銀行等からの債務免除により発生する特別利益であり、これも課税対象となります。

● 繰越欠損金  過去の会計年度において発生した損失のうち、まだ控除されていない部分を指します。繰越欠損金は、将来の課税所得から控除することができます。

税務上の取り扱い

通常の利益と債務免除益がある場合、それぞれの金額は以下のように計算されます。

・通常の利益債務免除益を合計します。

・合計した額から繰越欠損金を控除します。

これにより、課税対象となる利益が決定されます。具体的な計算手順は以下の通りです:

・通常の利益 + 債務免除益 = 総利益

・総利益 – 繰越欠損金 = 課税所得

課税所得がプラスの場合、その金額に対して法人税が課されます。もし、繰越欠損金が総利益を上回る場合、課税所得はゼロとなり、その年の法人税は発生しません。

<例>

・通常の利益: 1,000万円

・債務免除益: 500万円

・繰越欠損金: 1,200万円

この場合、計算は以下のようになります:

・1,000万円 + 500万円 = 1,500万円(総利益)

・1,500万円 – 1,200万円 = 300万円(課税所得)

したがって、300万円が課税所得となり、この額に対して法人税が課されます。

繰越欠損金の注意点

繰越欠損金には繰越期間の制限があり、日本では原則として繰越期間は10年間です。また、税務上の条件や制限事項もあるため、具体的な取り扱いについては専門家の助言を仰ぐことをお勧めします。

 

その他の事業再生時の繰越欠損金の活用

(1)再生中の利益と法人税の相殺

(2)グループ内での損益通算

(3)資本政策との連携

事業承継後・経営不振

相談者

B社  製造業

相談内容

・先代が 2 年前に亡くなり、息子が事業承継した。しかし、息子は仕事に対して誠意が見られず、遊興にふけっている。今期に入って資金繰りがいよいよ詰まりそうな状況に陥った。
 *本件はB社の顧問税理士の先生からの相談。

現在の状況

・年商:2 億円
・営業利益:△4000 万円
・粗利益率:40%
・現・預金残高:1200 万円
・社員:15 名
・銀行借入残高:7000 万円
☆ 6 ケ月後に資金不足予想。

対策

(1)  資金繰り不足解消の為に銀行に元本返済を 1 年間ゼロ(リスケジュール)にすることを依頼。営業利益が売上に対して 20%もの赤字なので追加借入をしても返済不能。

(2)   粗利益率が 40%あるので売上高を増やす計画を作る。新規販売先を見つける方法の一つとして、「自社技術をマッチングサイトで広告」する方法を選択。

(3)  製造原価の中で外注費割合が 60%を占めているために内製化を計画

(4)   労働分配率が 75%に達しているため、適性比率 55%に 1 年かけて改善する。

粗利益額が 8,000万円 として
現在の労働分配率 75% ― 適性比率 55% = 20%
8,000 万円 × 20% = 1,600 万円の改善になる。

 

上記をしっかりと計画して実行すること。
その前に後継者の意識改善が必要。

中小企業が必要な人材を確保するための施策として、以下のような多面的なアプローチが効果的です。これらの施策を実行することで、優秀な人材を引きつけ、定着させることが可能になります。

1 賃金と福利厚生の改善

・競争力のある賃金体系の導入他社と比較しても魅力的な給与水準を提供することは、優秀な人材を確保するための基本です。例えば、成果主義や業績連動型の報酬制度を導入し、働きに見合った報酬を提供することで、モチベーションを向上させることができます。

・柔軟な福利厚生制度働き手の多様なニーズに応えるために、従業員のライフステージに合わせた福利厚生を整備することが重要です。育児休暇や介護休暇の拡充、テレワークの導入、フレックスタイム制度の適用など、柔軟な働き方を支援する仕組みが人材定着に寄与します。

2 職場環境の改善と企業文化の見直し

・働きやすい環境の整備労働時間の短縮や業務の効率化を進め、従業員にとって働きやすい環境を提供することが重要です。過度な残業をなくし、健康的な職場環境を整えることで、離職率を低減させることができます。

・オープンでフラットな組織文化の醸成意見を言いやすく、チームメンバー間のコミュニケーションが活発な企業文化は、従業員のエンゲージメントを高め、企業への忠誠心を育てます。また、社員のキャリアパスが明確に示され、成長機会がある企業は、特に若い人材にとって魅力的です。

3 人材育成とキャリア開発の強化

・定期的なスキルアップの機会提供社内外の研修やセミナー、資格取得支援プログラムを充実させることで、従業員が自身のスキルを高める環境を提供します。これにより、長期的な視点でのキャリア形成を支援し、企業にとっても戦力強化が図れます。

・メンター制度の導入新入社員や若手社員に対してメンターをつけ、職場適応やスキル向上のサポートを行うことも有効です。従業員の個別の成長ニーズに応じたフォローアップができることで、離職のリスクを減少させます。

4 デジタル化・自動化による業務効率化

・ITAIの導入による業務の効率化デジタル技術の導入は、業務の自動化や効率化を促進し、限られた人材で最大限の成果を上げることを可能にします。たとえば、AIによるデータ分析、自動化された会計システム、クラウドを活用した業務の効率化を図ることで、人的リソースを重要な業務に集中させることができます。

・リモートワーク環境の整備: ITインフラを整え、遠隔でも働ける体制を導入することで、地理的に離れた場所からも優秀な人材を採用できるようにします。リモートワークを取り入れることで、家庭の事情などでフルタイム勤務が難しい優秀な人材にも対応可能です。

5 外国人労働者の活用とサポート

・外国人労働者の積極的な受け入れとサポート体制の強化少子高齢化が進む日本では、外国人労働者の活用が重要な選択肢となります。適切な在留資格の取得支援や、生活面でのサポート(住居の提供、文化・言語のサポート)を充実させることで、外国人労働者が安心して働ける環境を整えることが求められます。

・多様な文化に対応する職場作り多文化共生を推進し、異なる国籍の従業員が働きやすい職場環境を整えることも大切です。外国人労働者がスムーズに職場に適応できるよう、研修や語学サポート、文化的な理解促進のための取り組みが必要です。

6 採用プロセスの改善

・デジタルを活用した採用の強化: SNSや採用プラットフォームを活用して、幅広い求職者にアプローチすることが重要です。リクルーティングにおけるオンライン面接やチャットボットを活用した応募者対応など、デジタル化を進めることで採用活動の効率を高めます。

・インターンシップや研修制度の充実若い人材に対しては、インターンシップを通じて早い段階で会社の雰囲気や業務内容に触れてもらうことが有効です。実際の業務体験を通じて企業への理解を深め、長期的な採用につなげることが可能です。

7 地域との連携強化

・地方自治体や学校との連携地域の自治体や大学、専門学校との連携を強化し、地元の若者や潜在労働者層との接点を増やすことが重要です。産学連携やインターンシップを通じて、地域での雇用創出を目指します。

・地方の魅力発信地方で事業を展開する企業は、生活環境の良さや地域資源をアピールすることで、都市部からの移住者やUターン労働者を惹きつけることができます。

8 M&Aや提携による人手不足の解消

・M&Aや業務提携の活用他企業とのM&Aや提携を通じて、人材リソースを共有し、業務効率を高める戦略も考えられます。特に異業種や競合企業との提携は、ノウハウやリソースの補完によって組織全体の強化が期待できます。

 

これらの施策を組み合わせて実行することで、優秀な人材を確保し、企業の持続的な成長につなげることが可能です。

中小企業の場合、資金力や人材が不足しているので、これらの施策を行うのは無理とあきらめるところもあるかもしれません。あきらめてしまっては、「人手不足倒産」に向かってしまいます。

当社では、「人材の採用と定着」を支援するプロである社会保険労務士と提携していますので、「人材採用」にお困りの場合はお問い合せ下さい。

手形の期間短縮(60日以内に)

令和6年4月30日、公正取引委員会は、業界の商慣行、近年の金融情勢等を総合的に勘案し、指導基準等を変更することとし、令和6年11月1日以降、親事業者が下請代金の支払手段として、サイト(手形期間又は決済期間をいいます。以下同じです。)が60日を超える長期の手形等を交付した場合、下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」といいます。)の割引困難な手形の交付等に該当するおそれがあるとして、その親事業者に対し、指導する方針を公表しました。

<公表の要旨>

これまで、手形の支払期間に関する指導基準は、業種によって異なり、繊維業では90日、それ以外の業種では120日とされてきました。しかし、今回の改定により、すべての業種において手形の支払期間は60日以内に統一されました。これは業界の商慣行や金融情勢を総合的に勘案した結果です。令和6111日から施行され、それ以降、親事業者が60日を超える手形を交付した場合には「割引困難な手形」と見なされ、指導対象となります。

また、経過措置として、施行日以前に交付された手形については、従来の基準(繊維業は90日、その他は120日)が適用されます。

さらに、今回の改定は一括決済方式電子記録債権が下請代金の支払手段として使用される場合にも影響を及ぼします。これらの支払手段についても同様に支払期間が60日以内に短縮されることが定められており、親事業者は下請事業者に対して不利益な変更を行わないように注意する必要があります。

この改定は、下請事業者の資金繰りを円滑にし、健全な取引関係を維持することを目的としています。

 

手形のメリット・デメリット

「手形」は、将来の一定期日にお金の支払いを約束する証券で、企業間の取引でよく利用されます。手形には「受取手形」と「支払手形」があります。以下、それぞれについて内容の説明とメリット、デメリットを整理します。

受取手形

内容

受取手形は、取引先(顧客)から受け取る手形です。将来の期日に顧客が支払うことを約束した金額を表しており、手形を受け取った企業は、期日が来るまでに手形を銀行で割引して現金化するか、期日まで保有して支払を受けることができます。

メリット

・信用補完機能:手形は支払の約束を保証する書面なので、取引先の信用を補完します。

・資金調達の柔軟性:手形を銀行に持ち込んで割引すれば、期日前に現金化できるため、資金繰りの柔軟性が増します。

・取引の信頼性:手形は法的拘束力があるため、取引先が期日に支払う確度が高いです。

デメリット(リスク)

・不渡りリスク:取引先が期日に手形の支払いができない場合、手形が「不渡り」となり、現金を受け取れないリスクがあります。特に、二度の不渡りで取引先は「倒産」とみなされる場合もあります。

・資金繰りの悪化リスク:期日まで手形を現金化できない場合、短期的な資金不足に陥る可能性があります。

・割引料の発生:手形を期日前に現金化するためには銀行に割引料を支払う必要があるため、資金コストがかかります。

支払手形

内容

支払手形は、企業が仕入先などに対して支払うことを約束する手形です。手形を発行することで、期日までの支払いを延期することができます。手形の期日が来ると、その額を銀行から引き落として支払いを行います。

メリット

・支払い延期効果:支払手形を使うことで、実際の支払いを期日まで延期できるため、一時的にキャッシュフローを改善できます。

・資金繰りの調整:将来の支払いを予定して資金計画を立てやすくなります。

・取引関係の維持:手形を使うことで信用取引ができ、取引先との関係を円滑に保つことができます。

デメリット(リスク)

・支払い不能リスク:期日までに資金を用意できないと「不渡り」になり、信用問題に発展する恐れがあります。特に二度の不渡りで倒産するリスクがあります。

・信用の低下:支払手形を多用すると、企業の信用力が低下する可能性があります。これは、手形を多く使うことで「資金繰りが厳しいのではないか」とみなされる場合があるからです。

・利息の発生:期日に支払いをする際には、取引先が割引を行っていた場合、その割引にかかる利息分を最終的に負担することがあるため、コストが増える可能性があります。


手形は資金繰りの調整手段として非常に有効ですが、不渡りなどのリスクもあるため、十分な計画と信用管理が必要です。

 

手形の期間短縮や手形自体の廃止

支払手形を発行している企業が、その手形の期間を短縮したり、手形自体を廃止する場合の理由や方法、メリットとデメリットを整理します。

1 手形期間の短縮

支払手形の期間を短縮するとは、手形の支払期日を早めることを指します。これは、取引先と合意の上で行われることが多く、企業が取引の信頼性向上や取引先の要求に応じて実施する場合があります。

理由

・取引先からの要請:取引先が早期の支払いを希望している場合、手形期間を短縮することで、取引先との信頼関係を維持できます。

・企業の信用向上:支払手形の期間を短縮することで、「早く支払う企業」として取引先や銀行からの信用が高まる可能性があります。

・手形取引の縮小準備:手形取引を廃止する準備段階として、徐々に期間を短くし、最終的に手形を廃止することを視野に入れている場合があります。

メリット

・信用向上:早期に支払いを行うことで取引先の信頼を得やすくなり、長期的なビジネス関係の強化につながる可能性があります。

・取引関係の円滑化:取引先が資金繰りを気にせず、スムーズな取引が継続できるため、相手企業との取引が安定化します。

デメリット

・資金繰りへの負担:期日を早めることで、自社の資金繰りが厳しくなる可能性があります。手元資金の確保が難しくなるリスクがあります。

・運転資金の圧迫:手形期間の短縮は、企業が即時に支払いを行うため、運転資金に余裕がなくなるリスクが伴います。

2 手形取引の廃止

支払手形そのものを廃止する企業も増えています。手形の代わりに、銀行振込電子決済などの即時決済手段を採用するケースが多いです。

理由

・手形の管理コスト削減:手形を発行するには、手形の印刷、管理、割引にかかるコストが発生します。これを廃止することで、事務的な負担が軽減されます。

・信用リスクの軽減:不渡りが発生した場合の信用リスクを回避できます。また、相手方の信用を確認する必要もなくなり、手続きがシンプルになります。

・資金決済の迅速化:銀行振込や電子決済などの即時決済手段に切り替えることで、資金の流れがスムーズになり、取引が迅速に進むようになります。

メリット

・管理コストの削減:手形を発行しないことで、印刷や管理、手数料などのコストを削減できます。

・不渡りリスクの回避:手形取引を廃止することで、不渡りリスクがなくなり、企業の信用リスクを軽減できます。

・キャッシュフローの改善:電子決済や振込を利用することで、資金の流動性が高まり、キャッシュフローの安定に寄与します。

デメリット

・即時支払いの資金負担:手形を廃止することで、すぐに現金を用意しなければならず、資金繰りが厳しくなる可能性があります。

・取引先との交渉が必要:手形取引を廃止する際、取引先に対して新しい決済方法を導入する必要があり、取引先との調整が必要です。特に手形文化に依存している企業の場合、抵抗があることも考えられます。

 

手形取引を続けるか、廃止するか、またその期間を調整するかは、それぞれの企業の資金状況や取引関係に依存します。資金繰りの見通しや取引先の期待に応じて、適切な判断が求められます。

廃業の仕方

相談者

A社 食品卸業及び小売業

相談内容

長年にわたって仕事をしてきたがコロナ禍の影響で事業の継続が難しく、家族と話し合って廃業することに決めた。

その対応として、銀行からと知人からの借入金の返済のために自宅を売却しようと考えている。

初めてのことなのでどのように進めたらよいのかを指導してもらいたい。

現在の状況

・創業:35 年 ・社長:61歳 ・社員:5名

・年商:1.5 億円 ・営業利益:△1,000 万円

・現預金残高:120 万円

・銀行借入残高:2,700 万円 ・リース会社:3社で 250 万円

・住宅ローン残高:1,800 万円 ・自宅時価:3,700 万円

・個人のカードローン:4 社 160 万円

対策

・自宅の時価は住宅ローン残高よりも高いので、廃業前に売却して、住宅ローンを支払った後の現金を確保する。これは銀行等からの仮差押、支払督促を避けるためもある。

・会社・個人の資産、負債の棚卸をして、一覧表を作成する。支払う負債と支払わない負債に分ける。支払うものについては優先順位を付ける。

・まずは自宅売却で残った資金で知人からの借入金を返済する。銀行は廃業後に長期の返済とする。

・自宅売却後の賃貸住宅の目処をつける。

・会社がある小売店舗の事業譲渡先を探す。

・在庫の棚卸をして廃業までに廉価販売計画を作る。

・社員の転職先を探す。

・リース会社に廃業の旨を伝えて、残金に対して和解交渉をする。

・個人のカードローン 4 社に廃業の旨を伝えて、残金に対して和解交渉をする。

留意点

・銀行の借入残金に対しては、全額が保証協会へ代位弁済となる。保証協会に対しては年齢が 61 歳ということ、資産が無いということ、当面は収入がないということを勘案すると毎月の返済は 1 万円程度となることが予想される。

・大切なことはすべての支払よりも、今後の生活費を確保することを優先しなければならないということ。

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